ヴァーティゴ

ヴァーティゴ（Vertigo）

ヴァーティゴとは、1960年代末にイギリスで設立された音楽レコード・レーベルの名で、その名前は「眩暈」を意味しています。特に、渦巻き型のロゴマークで知られ、視覚的にも印象を残す独特な存在感を持っています。

歴史の歩み

ビートルズが登場し、音楽シーンが変わる中で、多くの若手アーティストやバンドが登場しました。この潮流に乗り、大手レーベルは新しい才能の獲得に動き出しましたが、従来のビジネス慣習から抜け出せずにいました。特にデッカ・レコードは、ビートルズとの契約を逃したことから苦境に立たされ、自社のデラム・レーベルを新たに立ち上げることで、柔軟な契約を結ぶ道を模索しました。このような状況の中、フィリップス・レコード（後のポリグラム）は、1969年に傘下のヴァーティゴ・レーベルを設立しました。

このレーベルは、特にジャズ・ロック、ハードロック、プログレッシブ・ロックなど、革新的な音楽スタイルを提供する場として位置づけられました。ヴァーティゴの設立当初、レコードのデザインはロゴを大きくフィーチャーしたもので、「スパイラル・ヴァーティゴ」として知られる時代が始まりました。例えば、レコード番号「VO_01」はコロシアムのアルバムに付けられ、以降も数多くの名作が生まれました。

認知度の向上

この時期、ヴァーティゴはマンフレッド・マン・チャプター・スリーやブラック・サバスといったバンドを抱え、特にハードロックのジャンルで高い評価を得ました。また、イアン・マシューズやミッキー・ジャップなど、フォークやブルース・ロックのアーティストも加入し、多彩な音楽を提供しました。気付くと、これらの作品は現在でも高値で取引される貴重なものとなっています。

1971年には、映画『時計じかけのオレンジ』に架空のレコード店が登場し、ヴァーティゴのロゴが使用されるなど、文化的な影響も広がりました。さらに、ネペンサ・レーベルも設立されましたが、短命に終わります。しかしながら、それでも多様なアーティストの支持を受け続けたのです。

大衆向けへのシフト

1970年代中頃になると、ヴァーティゴは徐々に大衆向けのレーベルに変貌していきます。ステイタス・クォーやシン・リジィといった著名なバンドが所属するようになり、レコード番号も進化を遂げ、1975年には新しいデザイン「スペースシップ・ヴァーティゴ」が登場しました。

1980年代に入ると規模は縮小したものの、メタリカやダイアー・ストレイツといった現在でも人気の高いバンドのイギリスにおける配給元として機能しています。親会社はユニバーサル・ミュージックへと変遷してもなお、ヴァーティゴは記憶に残るレーベルとして存在しています。

日本市場への影響

さらに、ヴァーティゴは日本市場にも影響を与えました。日本フォノグラムからは邦楽作品がリリースされ、その中には成毛滋やかまやつひろしのアルバムが含まれています。しかし、初期のカタログ数が限られていたため、国内盤の発売は少なかったのです。

所属アーティスト

ヴァーティゴには、次のような著名なバンドやアーティストが所属していました：

• - コロシアム
• - ブラック・サバス
• - ユーライア・ヒープ
• - ステイタス・クォー
• - グレアム・パーカー

現在ではエイミー・マクドナルドやザ・キラーズなど、現代のシーンで活躍しているアーティストも名を連ねています。

ヴァーティゴの歴史は、革新、変化、そして多様性の物語であり、音楽文化における重要な役割を果たしてきました。

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