ダイアー・ストレイツ

ダイアー・ストレイツ：時代を超越するギターロックの伝説

ダイアー・ストレイツは、1970年代後半から1990年代初頭にかけて、その卓越した音楽性で世界を席巻したイギリスのロックバンドです。彼らは、ポップシーンに身を置きながらも、時代のトレンドに流されない独自の音楽スタイルを確立し、世界的な人気を獲得しました。特に、ギターリスト兼ボーカルのマーク・ノップラーの才能が際立っており、彼の紡ぎ出すメロディと歌詞は、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

結成と初期の活動

1976年、ロンドンでダイアー・ストレイツは結成されました。オリジナルメンバーは、マーク・ノップラー（リードギター、ボーカル）、デヴィッド・ノップラー（リズムギター）、ジョン・イルズリー（ベース）、ピック・ウィザース（ドラム）の4人。当初は「カフェ・レーサーズ」というバンド名で活動していました。当時のメンバーは、音楽だけで生計を立てていたのはウィザースのみで、他のメンバーはそれぞれ別の仕事をして音楽活動を支えていました。

バンド名の「ダイアー・ストレイツ（Dire Straits）」は、メンバーの経済状況が苦しかったことに由来します。友人の「ひどい窮状（dire straits）」という冗談から名付けられました。1977年、ヴァーティゴ・レコードとの契約を獲得し、1978年にはトーキング・ヘッズのイギリスツアーでオープニングアクトを務め、その後、ファーストアルバムのレコーディングを開始しました。同年には、ワーナー・ブラザース・レコードとも契約し、北米での展開も視野に入れることとなります。

世界的な成功

1978年にリリースされたファーストアルバム『悲しきサルタン』は、当初こそチャートアクションに結びつきませんでしたが、オランダのラジオ局でのヘビーローテーションをきっかけに、ヨーロッパ全土、そしてアメリカへと人気が拡大しました。アルバムは全米2位、全英8位を記録し、全世界で1,500万枚を売り上げる大ヒットとなりました。また、ボブ・ディランがダイアー・ストレイツのライブを観覧し、ノップラーとウィザースを自身のアルバムのレコーディングに起用したことも、彼らの評価を高める要因となりました。

1979年にはセカンドアルバム『コミュニケ』も成功を収めましたが、1980年の『メイキング・ムーヴィーズ』制作中にデヴィッド・ノップラーが脱退。その後、ハル・リンデスとアラン・クラークが加入し、バンドは5人編成となりました。1982年には、アルバム『ラヴ・オーヴァー・ゴールド』が全英1位を獲得し、「哀しみのダイアリー」も大ヒットを記録しますが、同アルバムを最後にピック・ウィザースが脱退。テリー・ウィリアムズが加入しました。

1985年に発表されたアルバム『ブラザーズ・イン・アームス』は、スティングが参加した「マネー・フォー・ナッシング」のミュージックビデオがMTVで大量にオンエアされたこともあり、爆発的なヒットを記録しました。アルバムは全米1位を3週連続でキープし、イギリス国内だけでも390万枚以上を売り上げました。このアルバムは、CDへの移行期にあたり、LPよりもCDが売れたことでも話題となりました。

解散と再結成、そして殿堂入り

1988年、マーク・ノップラーはダイアー・ストレイツの解散を発表。その後、ノップラーはノッティング・ヒルビリーズのメンバーとして活動しました。1991年には、ノップラー、イルズリー、クラーク、フレッチャーが再結集し、アルバム『オン・エヴリー・ストリート』をリリース。しかし、1995年に再び解散が発表されました。2018年には、『ロックの殿堂』入りを果たし、その音楽的功績が改めて評価されました。

ダイアー・ストレイツは、マーク・ノップラーの才能に大きく依存したバンドであり、彼の楽曲以外の曲が取り上げられることはほとんどありませんでした。しかし、そのノップラーの才能こそが、彼らを唯一無二の存在たらしめ、時代を超えて愛される理由と言えるでしょう。

メンバー

マーク・ノップラー - ボーカル、ギター（1977年 - 1995年）
ジョン・イルズリー - ベース、バッキング・ボーカル（1977年 - 1995年）
デヴィッド・ノップラー - リズムギター、キーボード、バッキング・ボーカル（1977年 - 1980年）
ピック・ウィザース - ドラムス（1977年 - 1982年）
アラン・クラーク - キーボード（1980年 - 1995年）
ハル・リンデス - リズムギター、バッキング・ボーカル（1980年 - 1985年）
テリー・ウィリアムズ - ドラムス（1982年 - 1989年）
ガイ・フレッチャー - キーボード（1984年 - 1995年）
ジャック・ソンニ - リズムギター（1985年 - 1988年、ツアーのみ）

日本公演

1983年4月に最初で最後の日本公演を行いました。

4月2.3.4日 東京 日本青年館
* 4月5日 大阪 万国博ホール

ダイアー・ストレイツは解散後も、彼らの音楽は世代を超えて聴き継がれ、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。その音楽的遺産は、これからも色褪せることなく輝き続けるでしょう。

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