ヴィクラント (空母・2代)

ヴィクラント（Vikrant）: インド初の国産航空母艦

「ヴィクラント」はインド海軍の航空母艦であり、インド初の国産空母として広く認識されています。もともと「防空艦」としての計画名がありましたが、最終的には「国産空母1号（IAC-1）」として高い期待が寄せられました。艦名の「ヴィクラント」はヒンディー語で「勇敢」や「強い」を意味し、艦のモットーも先代の空母から引き継がれています。

建造に至る経緯

ヴィクラントの建造計画は、1980年代に始まりました。初代の「ヴィクラント」が退役した後、インド海軍には「ヴィラート」だけが残る状況となり、新しい空母の必要性が高まりました。1999年には、政府が基準排水量24,000トンの国産空母建造を正式に決定し、その後の工程は幾多の変更と遅延を経て、最終的に2022年に就役を果たします。

計画の遅延と変更

最初の計画では、2003年に起工し、2009年には海上公試を予定していました。しかし、造船所の体制の不備や艤装品の不調などが影響し、建造が大幅に遅れました。予算の増加も避けられず、326億1,000万ルピーの建造費用が最終的に2,000億ルピーに達しました。2021年8月にようやく海上公試が始まり、2022年9月には就役式が行われました。

設計の特徴

本艦の設計は、インド海軍設計局によって行われましたが、フランスのDCN社の空母設計を元に改良が加えられ、イタリアのフィンカンティエリ社の技術も取り入れられました。これにより、性能と効率性を兼ね備えた艦船が誕生しました。また、建造にはインド国産の鋼材が使用されるなど、国産化も進められました。

船体と機関

ヴィクラントは、全長252メートル、主機はガスタービンエンジンで、COGAG方式を採用するなど、従来の蒸気タービンからの脱却が図られています。これにより、高速航行が可能となり、新たな運用形態に適応できるように設計されました。

航空運用機能

本艦は、発艦する戦闘機に対してスキージャンプ装置を導入し、着艦にはアレスティング・ギアを採用しています。これにより、異なる気象条件下でも安定して航空機の運用が行えるよう工夫されています。搭載機には、主にロシア製のMiG-29Kや、将来的な国産機のテジャスMk.1を考慮しており、柔軟な運用が期待されています。

装備と防御機能

ヴィクラントには、EL/M-2248 MF-STARレーダーや、オート・メラーラ76mm砲の搭載が計画されていましたが、最終的には30mmCIWSが搭載されることとなりました。防空機能を高めるためにインドとイスラエル共同開発のバラク8艦対空ミサイルも搭載予定です。

結論

「ヴィクラント」は、数々の遅延と変更を経ながらも、インド海軍の新たな海上戦力を構築する上で重要な役割を果たす空母となりました。これにより、インドは自国の防衛力を強化し、国際的な海軍力のバランスにおいても新たな影響を持つ存在となるでしょう。今後の運用と成長に注目が集まっています。

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