ヴィンセンス (軽巡洋艦)

アメリカ海軍軽巡洋艦ヴィンセンス(CL-64)の戦歴

艦の誕生

ヴィンセンス(USS Vincennes, CL-64)は、アメリカ海軍のクリーブランド級軽巡洋艦の一隻で、インディアナ州ヴィンセンスにちなんで命名されました。当初はフリント(USS Flint)として起工されましたが、ソロモン海戦で同名の重巡洋艦が戦没したため、その名を継承することになりました。1943年7月17日に進水し、1944年1月21日にアーサー・D・ブラウン大佐の指揮下で就役しました。

就役後、ヴィンセンスは艤装を終え、英領西インド諸島への巡航と調整航海を実施。その後、第14巡洋艦隊の旗艦となり、太平洋戦線へ向かいました。

マリアナ諸島での戦い

ヴィンセンスの初陣は、小笠原諸島への攻撃でした。日本軍の反撃を盾となり、6月10日には一式陸上攻撃機を撃墜。マリアナ沖海戦では、対空砲火で日本軍の攻撃を跳ね返しました。その後、グアム、テニアン島、ロタ島などへの攻撃に参加し、空母部隊の護衛任務を遂行しました。

フィリピンでの激戦

ヴィンセンスは、パラオ諸島、フィリピンのミンダナオ島、ルソン島などへの攻撃に参加。レイテ沖海戦では、栗田艦隊のサンベルナルジノ海峡突破に備え、同海峡東方海上に待機。その後、小沢艦隊への攻撃にも加わりました。また、駆逐艦「野分」を撃沈する戦果も挙げています。レイテ沖海戦後もルソン島沖で警戒任務を継続しました。

台湾沖と南シナ海での戦い

台湾沖海戦では、日本軍の航空攻撃に対し、ヴィンセンスは複数機を撃墜しました。その後、南シナ海に進出し、インドシナ半島カムラン湾東部海域で活動。空母「タイコンデロガ」への特攻を阻止するべく、僚艦と協力し特攻機を撃墜しました。

沖縄戦での活躍

ヴィンセンスは沖縄戦にも参加し、本州南東海域での空母部隊の護衛や、沖縄沿岸砲台への艦砲射撃を実施しました。沖大東島への艦砲射撃では大火災を起こし、多くの戦果を挙げました。特に、沖縄への上陸作戦では、海岸砲台の破壊に大きく貢献しました。

ヴィンセンスの航空監視員と陸上監視員は、その艦砲射撃の効果について、大型の海岸砲や兵士の宿舎の破壊、迫撃砲陣地への直撃、沿岸砲台の破壊、洞窟の入り口破壊などを報告しています。水上機部隊も、パイロットの救助活動で貢献しました。

戦後の活動と終焉

ヴィンセンスは、終戦後、オーバーホールのため帰国。その後、マジック・カーペット作戦に参加し、兵士の輸送任務に従事しました。また、南太平洋軍司令官の旗艦として、ガダルカナル島など各地を視察しました。1946年9月10日に退役し、1966年4月1日に除籍され、その後ミサイル実験の標的艦として海没処分されました。

栄光の記録

ヴィンセンスは第二次世界大戦の戦功により、6個の従軍星章を受章しました。その卓越した戦闘能力と数々の戦果は、アメリカ海軍の歴史に深く刻まれています。

参考文献

アメリカ海軍公式記録
NavSource Naval History

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧
アメリカ海軍巡洋艦一覧

外部リンク

* Photo gallery of USS 'Vincennes' at NavSource Naval History

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