ヴィンディクティヴ (空母)

ヴィンディクティヴ：重巡洋艦から空母へ、そして再び巡洋艦へ

イギリス海軍のヴィンディクティヴは、複雑な艦歴を持つ艦艇として知られています。当初はキャベンディッシュ級巡洋艦として建造が始まりましたが、第一次世界大戦中に航空母艦へと改装されたのです。この改装によって、ヴィンディクティヴは艦中央部に艦橋や煙突を備えた独特な姿となりました。そのため、航空巡洋艦と呼ぶのがより正確な表現と言えるでしょう。

空母としての活躍と艦型

1918年9月に空母として就役したヴィンディクティヴは、フューリアスと並んで、黎明期の空母として実戦に参加しました。艦前部には発艦用の飛行甲板、艦後部には着艦用の飛行甲板を備えていましたが、艦中央部の構造物が飛行甲板を完全に貫通していませんでした。全通飛行甲板を有する空母としては、貨客船改造のアーガスが最初期のものでした。ヴィンディクティヴは、艦載機の運用能力は持っていたものの、本格的な空母とは異なる艦型であったと言えるでしょう。

大戦後の変遷

第一次世界大戦後、ヴィンディクティヴは1923年から1925年にかけて、通常の巡洋艦へと改造されました。その後も、旧式化しつつも練習艦や工作艦として長く活躍しました。1937年には練習艦としての運用にあたり、ボイラーの数を減らし、速力を低下させました。さらに、1939年には工作艦へと改装され、第二次世界大戦中は軍隊輸送艦としてノルウェー攻防戦にも参加するなど、多様な役割を担いました。1946年、長きに渡る艦歴を終え、売却されました。

艦形の特徴

ヴィンディクティヴは長船首楼型船体を持つ艦でした。艦首には主砲である19.1cm速射砲が配置され、その背後に航空機の発艦施設がありました。艦中央部には艦橋と煙突が並び、その周囲には艦載艇置き場がありました。後部には着艦用の飛行甲板と格納庫が配置され、艦尾にも主砲が1基備えられていました。魚雷発射管は船体に内蔵されていました。空母として改装された際も、艦の中央部は巡洋艦時代の構造物をそのまま残しており、前部に100フィート、後部に215フィートの飛行甲板を備え、8機の航空機を搭載する格納庫を有していました。

艦歴のハイライト

ヴィンディクティヴは、1919年にはバルト海に進出し、クロンシュタット攻略支援に従事しました。1924年の重巡洋艦への改装では、武装が強化され、艦後部の航空機運用施設は撤去されましたが、艦前部にはカタパルトが設置され、イギリス海軍で初めてカタパルトを装備した巡洋艦となりました。しかし、このカタパルトは1928年には撤去されました。その後、練習艦、工作艦を経て、第二次世界大戦中の活動後、予備艦となり、最終的に解体されました。

参考文献

世界の艦船 増刊第46集　イギリス巡洋艦史（海人社）
世界の艦船 増刊第71集　イギリス航空母艦史（海人社）
* その他、多数の書籍や資料

ヴィンディクティヴは、その艦歴を通して、イギリス海軍の変遷、特に航空母艦の黎明期の様子を象徴的に示す艦艇と言えるでしょう。重巡洋艦としての建造から、空母への改装、そして巡洋艦への回帰、さらには練習艦、工作艦としての運用と、その多様な役割は、イギリス海軍史において重要な位置を占めています。

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