ヴェクシロイド

ヴェクシロイドの歴史と特徴

ヴェクシロイド（英語: vexilloid）は、特定の国家、団体、個人を象徴するために掲げられる棒状の標識です。この用語は1958年にアメリカの旗章学者、ホイットニー・スミスによって提唱されました。ヴェクシロイドは、一般的な旗とは異なるカテゴリーに位置づけられ、歴史的には様々な形式と材料で造られてきました。

概要

ヴェクシロイドは、王や将軍といった権威の象徴であり、主に木材や金属、動物の角や皮などから作られました。装飾には彫刻や塗装が施されることがあり、各文化や時代において独自のデザインが存在します。最古のヴェクシロイドの一例は、エジプト先王朝時代末期に関連する遺物や、「ナルメルのパレット」に描かれています。特に、古代ペルシアで使用された金属製のヴェクシロイドは、5000年以上前のものと考えられ、鷲のシンボルが特徴的です。

名高いヴェクシロイドとしては、ローマ帝国で用いられたウェクシルムがあり、これは槍に取り付けた水平な棒から布が垂れる形で表現されました。中世になると、12世紀から15世紀にかけてヴェクシロイドは徐々に現代的な旗に取って代わられましたが、それでもなお軍の部隊や特定の団体の象徴として使用され続けました。

古代のヴェクシロイド

アケメネス朝では、ヴェクシロイドにハヤブサの図像が用いられ、マケドニアの大王アレクサンドロス3世はヴェルギナの太陽をシンボルとしました。マウリヤ朝ではアショーカ・チャクラ、カルタゴではバアル神の円盤とタニト女神の三日月が槍に付けられる形で用いられました。サーサーン朝では、太陽十字に似たDerafsh Kavianiが使われ、権威を表現しました。

中世の影響

中世に入ると、1057年以降のビザンツ帝国では双頭の鷲がシンボルとして採用され、特にパレオロゴス朝の双頭の鷲はその特徴的なデザインとともに広まりました。また、中央アジアの騎馬民族は、トゥグやブンチュークと呼ばれるヴェクシロイドを掲げ、権力の象徴としていました。

近代におけるヴェクシロイドの使用

近代では、ナチス・ドイツが親衛隊のパレードや党大会でヴェクシロイドを利用しました。これはウェクシルムに似た形状で、上部には鷲や卍が配置され、さらに各種要素やスローガンが盛り込まれました。また、ソビエト連邦及びロシアでは独ソ戦戦勝記念パレードにおいてウェクシルム型のヴェクシロイドが使われ、歴史的な意義を持ち続けていました。

結論

ヴェクシロイドは、その発展と変遷を通じて、歴史上の様々な文化で重要な役割を果たしてきました。古代から近代に至るまでのヴェクシロイドは、単なるシンボルを超え、当時の権力構造や文化的アイデンティティに深く関連しています。これにより、私たちはその役割や意義を理解し続けることができるのです。

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