ヴェスタル (給炭艦)

ヴェスタル (USS Vestal, AR-4) の概要

USS Vestal (AR-4)はアメリカ海軍の給炭艦として1913年に就役し、その後工作艦に改装された艦船です。この艦名は、ローマ神話の竈の女神ウェスタに由来しています。ヴェスタルは第一次世界大戦および第二次世界大戦の両方において、様々な任務に従事しました。

初期の艦歴

ヴェスタルは1904年に計画されましたが、1905年に艦名が変更され、1907年にブルックリン海軍工廠で起工されました。1909年には民間の乗員の下で正式に就役し、主に給炭艦として大西洋および西インド諸島での運用に従事しました。特にアメリカ大西洋艦隊の艦船への石炭の補給任務を担い、合間にフィラデルフィア海軍造船所に帰還し、1912年にボストン海軍工廠で解役されます。その後、約1年間の改装を経て、1913年に工作艦として再就役しました。

第一次世界大戦とその後

第一次世界大戦において、ヴェスタルはアイルランドのクイーンズランドで駆逐艦への支援を行いました。この任務を経て、1919年に帰還しました。それ以降の6年間は偵察部隊や戦闘艦隊で活動し、1920年に「AR-4」の艦番号が付与されました。

1925年には近代化改装を受け、機関が石炭から重油へと変更されました。その際、潜水艦S-51の救援に参加し、引き上げ作業を行いました。

第二次世界大戦における活躍

1941年、真珠湾攻撃が発生するまで、ヴェスタルは真珠湾で任務を続けていました。攻撃当日、艦は日本海軍の空襲を受け、損傷を被りましたが、艦長カッシン・ヤング中佐の指揮の下、迅速な対応を行い、艦の運用を続けました。特に、周囲の艦艇への救援活動や損傷の応急修理に従事し、艦体に深刻な被害を抱えながらも奮闘しました。

真珠湾での戦闘後、ヴェスタルは修理を行いながら南太平洋に展開し、トンガタプ島、ヌーメア、エスピリトゥサント島などで修理任務を行いました。特に、空母サラトガや戦艦サウスダコタなど、多くの艦船の修理を手掛けました。

1945年、サイパン島と沖縄での戦闘に従事し、特攻機に対する防御や修理を行うなど、戦局の変化に対応しました。最終的には、8月15日の日本の降伏に伴い、戦争が終結しました。

戦後と退役

戦後、ヴェスタルは台風の影響を受けながらも、艦艇の修理に従事し続けました。1946年に退役し、同年中に海軍艦艇名簿から除籍されました。1950年には解体のために売却され、その長い歴史に幕を閉じました。ヴェスタルは、その戦歴により複数の勲章を受章し、アメリカ海軍の重要な工作艦としての役割を果たしました。

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