ヴェットール・ピサニ級装甲巡洋艦

ヴェットール・ピサニ級装甲巡洋艦

ヴェットール・ピサニ級装甲巡洋艦は、イタリア海軍に所属する装甲巡洋艦の艦級であり、設計を担当したのはエドアルド・マズデア造船士官です。この艦級は前級よりも排水量が約40%増加し、それに伴って防御装甲が大幅に強化されました。イタリア海軍では二等戦艦として位置づけられる一方、他国では装甲巡洋艦として分類されています。

艦形

この級の特徴的な船体形状は、乾舷が高く短船首楼型です。艦首から甲板上には「アームストロング 1892年型 15.2cm（40口径）速射砲」が装備されており、防盾が取り付けられた単装砲架で一基が配備されています。下部には司令塔が設けられ、両側には船橋が配置されています。また、艦橋の背後には前部への視界確保を目的とした2段の見張り所が設けられた前部ミリタリー・マストがそびえ立っています。

イタリア巡洋艦では、缶室分離配置が採用されており、これにより前後に離れた2本の煙突が立っています。舷側甲板上には、艦首および艦尾に15.2cm速射砲が片舷に2基ずつ配置され、火力の強化が図られています。煙突の周囲には煙管型の通風筒が立ち、艦載艇の格納スペースとして利用されています。そのほか、前後のミリタリー・マストの基部にはジブ・クレーンが設置され、艦載艇の運用が可能です。

後部には、前部と同様の形状の後部ミリタリー・マストが設置され、その背景には後部艦橋が位置しています。この後部甲板上には、やはり防盾の付いた6番主砲が装備されています。また、舷側部の装甲には砲郭が設けられており、ここにはアームストロング 1891年型 12cm（40口径）速射砲が計8基、片舷に4基ずつ配置され、さらに艦の火力を強化しています。

装甲が施されていない艦首と艦尾には、植民地警備任務のため通風を良くするための舷窓が多数開けられています。

同型艦

ヴェットール・ピサニ (Vettor Pisani)

最初の艦であるヴェットール・ピサニは、1892年にカステラマーレ造船所で建造が始まり、1895年に進水しました。1899年には正式に竣工し、その後1916年から1918年まで工作艦に改装されましたが、1920年には除籍されました。

カルロ・アルベルト (Carlo Alberto)

カルロ・アルベルトは、1893年にラ・スペリア造船所で起工され、1896年に進水しました。竣工は1898年ですが、1907年から1910年の間に水雷・砲術練習艦として使用され、その後1917年には武装が撤去され兵員輸送艦に改装されました。この艦もまた、1920年に除籍されています。

参考文献

詳しい情報は「世界の艦船増刊 イタリア巡洋艦史」(海人社)に記載されており、艦艇の詳細な知識を深めるのに役立ちます。また、ネット上には『Cruiser armoured 'Vettor Pisani' (1892)』というページが存在し、特定のスペックや写真が掲載されています。

関連項目

• - イタリア海軍艦艇一覧

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