ヴカシン・ブライッチ

ヴカシン・ブライッチ：ボスニア・ヘルツェゴビナが生んだ才能あふれるポップ・ロック歌手

ヴカシン・ブライッチ（Vukašin Brajić）は、1984年2月9日、ボスニア・ヘルツェゴビナのサンスキ・モストで生まれました。旧ユーゴスラビア地域で放映されたリアリティ番組「オペラツィヤ・トリユムフ」への参加をきっかけに、その名が広く知られるようになりました。2010年には、ユーロビジョン・ソング・コンテストにボスニア・ヘルツェゴビナ代表として出場し、国際的な舞台でも活躍しました。

生い立ちと音楽への目覚め

ヴカシンは3人兄弟の長男として生まれ、幼い頃から音楽に強い興味を示していました。小学校3年生の時、音楽学校への入学を希望しましたが、当時はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中であり、その願いは叶いませんでした。1994年、紛争を逃れるためセルビアのマリ・ポジャレヴァツへ移住。その後、チャチャクで初等・中等教育を終えました。

両親はヴカシンに音楽教育を受けさせることはできませんでしたが、彼は独学で音楽を学び、鍵盤楽器やギターの演奏技術を習得しました。15歳の時におじからギターをプレゼントされた際、「いつかこのギターで家族を養う」と宣言したそうです。合唱団やダンス・スタジオ、演劇クラブでの活動を通じて、音楽パフォーマンスの経験を積んでいきました。19歳でネゴティンに移り、教育大学で音楽と歌唱を本格的に学びました。

アフェクトでの活動

大学在学中、ヴカシンは友人たちとメロディック・メタル・ロックバンド「アフェクト（Affect）」を結成し、リード・ヴォーカルを務めました。2004年には4曲を録音し、自身の音楽の方向性を見出しました。その後、メンバーを加え、本格的なバンド活動を開始。2007年にはシングルをリリースし、ベオグラード以外でも活動を始めました。

ラッキー・ルークとしての活動

アフェクトでの活動後、ヴカシンはマルコ・マリッチとのアコースティック・デュオ「ラッキー・ルーク（Lucky Luke）」として活動を継続。モーニング・ショーなどにも出演し、その名を知られていきました。

オペラツィヤ・トリユムフでの躍進

ヴカシンのキャリアを大きく飛躍させたのは、リアリティ番組「オペラツィヤ・トリユムフ」への参加でした。ルームメイトからの情報で参加を決意し、歌唱指導を受け、オーディションに合格。番組では、他の参加者とのデュエットやソロパフォーマンスを披露し、その歌唱力とパフォーマンスで視聴者を魅了しました。

脱落の危機を乗り越えながら決勝まで進出し、最終的には2位となりました。番組を通じて、ヴカシンは旧ユーゴスラビア地域全体から支持を集め、その人気を不動のものとしました。

オペラツィヤ・トリユムフ後

番組終了後、ヴカシンは他の参加者と共に「OTベンド（OT Bend）」を結成し、ユーロビジョン・ソング・コンテストのセルビア代表選考に挑戦。惜しくも代表には選ばれませんでしたが、OTベンドとしてコンサートやイベントに出演し、精力的に活動しました。2010年には、ユーロビジョン・ソング・コンテストにボスニア・ヘルツェゴビナ代表として出場を果たしました。

現在の活動

ヴカシン・ブライッチは、現在も音楽活動を続けています。彼の音楽は、ポップ・ロックを基調としながらも、様々なジャンルの要素を取り入れた独自のスタイルが特徴です。今後も彼の活躍から目が離せません。

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