一之森城

一之森城は、愛媛県北宇和郡鬼北町に存在した山城です。標高266mの山頂を巧みに利用し、人工的に平坦な地を造成して城郭が築かれました。城へのアクセスは、東麓の是延、または南麓の西仲からのルートが利用できます。

築城の歴史は古く、永徳元年（1381年）頃に竹林院公明が宇和郡へ移住したことが始まりとされています。以降、竹林院氏が代々この城を居城としました。嘉吉元年（1441年）の嘉吉の乱では、当時の城主であった竹林院氏が、赤松満祐討伐のために立間公広と共に播磨国へ出兵しています。このことからも、当時の竹林院氏が一定の勢力を持っていたことがうかがえます。

しかし、室町時代後期になると竹林院氏の勢力は徐々に衰退していきました。戦国時代末期には、土佐一条氏や長宗我部氏といった周辺の有力大名からの侵攻を受けるようになります。そして、天正11年（1583年）、長宗我部元親の家臣である久武親直によって一之森城は兵糧攻めを受け、ついに城主であった竹林院実親は降伏し、城を明け渡すこととなりました。

落城後、竹林院氏は城を離れ、近くの村に居住したと伝えられています。一之森城は、その立地と歴史から、地域の変遷を物語る貴重な史跡といえるでしょう。

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典（38.愛媛県）』角川書店、1991年
日本歴史地名大系 (オンライン版)

関連項目

* 日本の城一覧

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