一倉宏

一倉宏（いちくら ひろし）は、1955年2月14日生まれの日本のコピーライター、作詞家です。群馬県渋川市出身で、群馬県立渋川高等学校を経て筑波大学第一学群人文学類を卒業しました。

1978年にサントリーに入社し、宣伝部制作室でコピーライターとしてのキャリアをスタートさせます。そこで、後の広告業界を牽引するコピーライター仲畑貴志氏の薫陶を受け、初期には「オールド」などのコピーライティングに携わりました。1980年から1983年にかけて展開された「トワイライト・キャンペーン」では、ネーミング考案からキャンペーン企画まで幅広く担当し、その名を知られるようになりました。

サントリーが社運をかけて発売した麦芽100%ビール「モルツ」の広告・CMの主要企画にも関与します。1987年にサントリー宣伝部を退社後、仲畑氏の誘いで仲畑広告制作所に移籍しました。1989年には、ソニー・ウォークマンの「音が進化した。ヒトはどうですか。」「どこまで行ったら、未来だろう。」というコピーで、科学と人間をテーマにした独自の広告世界を確立し、注目を集めました。1990年には独立し、自身のオフィス「一倉広告制作所」を設立し、フリーランスとして活動を始めました。

1990年から1994年にかけては、NTTデータ通信の企業広告で、スティーヴン・ホーキングなどの著名な科学者を起用し、コピーを担当。大きな話題を呼びました。その他にも、松下電工の「きれいなおねえさんは、好きですか」や、ユナイテッドアローズのストアオープンキャンペーン「Cocoloni Utao.」「Caradani Aio.」など、数多くの有名キャンペーンを手がけました。また、ANAの「LIVE/中国/ANA」では、タレントが中国の様子を伝えるという斬新なCMで話題を呼びました。

作詞家としても才能を発揮し、斉藤和義の「ウエディング・ソング」や「おつかれさまの国」などの楽曲の作詞も手がけています。

2010年以降は、母校である筑波大学の活動にも積極的に参加し、スローガンやメッセージソングの歌詞を提供、講義も行っています。また、宣伝会議のコピーライター養成講座では長年講師を務め、2017年には60周年記念講座「一倉広告研究室」を開催しました。

主な著書

『ユーク』 （朝日出版社）
『人生を3つの単語で表すとしたら』（講談社）
『ななえがトイレで泣いたこと』（TOTO出版）

有名なキャッチコピー

私は、ドライではありません。（サントリー・モルツ）
ハタチを過ぎたら21。（サントリー・ライト&スムースウイスキー 21）
科学では説明できないことだけど、それが大人の味というものです。（サントリー・オールド）
アカレゼルブ、シロレゼルブ、ロゼレゼルブ。（サントリー・レゼルブ）
今日はウチ メシ ワインの日。（サントリー・レゼルブ）
君は何才まで、一緒に入ってくれるだろうか。（東京ガス・お風呂の日広告）
ぼくは、おとこどうしで、はいりたいから、はやくかえってきてください。（東京ガス・お風呂の日広告）
20世紀のおみやげに。光と音のウォークマン。（ソニー・ウォークマン）
憲法第二十二条には「職業選択の自由」と書いてある。（学生援護会・サリダ）
あなたから、幸せになってください。（岩田屋）
ごめん。もう、本命しか、いらない。（パルコ）
けれども、君は永遠じゃない。（パルコ）
エンディングまで、泣くんじゃない。（任天堂・MOTHER）
合言葉は、ダイジョウブカ? 21世紀大丈夫化計画。（三菱電機）
愛してる人と、ピーしてる。（アステル東京）
消せない男。（JT・セブンスター・ボックス）
SILENT SMOKE.（JT・セブンスター・ボックス）
愛に雪、恋を白。（JR東日本）
ウイスキーがカッコよくなくて、何がカッコいいんだ。（サントリー・リザーブ10年・シェリー樽仕上げ）
ウイスキーをオヤジと言ったのは誰だ。（サントリー・リザーブ10年・シェリー樽仕上げ）
ウイスキーを古く言うあんたが古いぜ。（サントリー・リザーブ10年・シェリー樽仕上げ）
imageする会社。（FUJI FILM）
20世紀に、何を見ましたか。21世紀に、何を見たいですか。（シャープ）
さあ、液晶世紀へ。（シャープ）
リビングは、環境です。（シャープ）
いい空は青い。（ANA）
ライバルだった、友だちは。（資生堂・IN & ON）

一倉宏の作品は、言葉の力と独自の発想で、多くの人々の心に響き、日本の広告史に深く刻まれています。

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