一向聴

一向聴（イーシャンテン）とは

麻雀において、あと1枚必要な牌がくれば聴牌となる状態を指します。つまり、聴牌の直前の段階です。

例：「場に3枚切れている嵌張を先に引いて、好形の一向聴になった」「ドラを切れば聴牌だが、愚形で巡目も早いので一向聴に戻した」

概要

和了の直前の状態が聴牌、その一段階前が一向聴です。さらに前は二向聴、その前は三向聴と言います。

実戦では、五向聴から三向聴程度の配牌からスタートし、ツモや打牌、副露によって向聴数を減らし、聴牌を目指します。

聴牌に必要な牌の枚数をn枚とする時、その状態をn向聴と言います。自摸、チー、ポンでは、基本的に向聴数は1つずつしか減りません。

ただし、七対子や国士無双の場合、副露によって向聴数が2つ以上増えることがあります。

例：

国士無双の一面待ちからポンすると、六向聴になる。
七対子の聴牌から大三元を目指してポンすると、二向聴になる。

一向聴の形は無数に存在し、特徴的なものには名前が付けられています。以下に代表的な例を挙げます。

一向聴の牌姿例

両門と両門の一向聴


[牌姿の例]


受け入れ牌は4種類。両門聴牌が取れる、比較的良い形です。安全牌の字牌を抱えつつ、チー聴も狙えます。

充分形とは言えない一向聴


[牌姿の例]


受け入れ牌は2種類。嵌張待ちになる可能性があり、万全とは言えません。ドラを捨てることになる場合、聴牌を崩して一向聴に戻すこともあります。

高目と安目のある一向聴


[牌姿の例]


受け入れ牌は5種類。ドラを引けば満貫ですが、そうでない場合は安いです。一気通貫の可能性も残っています。

七対子の一向聴


[牌姿の例]


受け入れ牌は3種類。3枚使いの牌がない場合、必ず3牌が浮く形になります。

赤ありの麻雀では、赤牌を引くことを想定して、一向聴から五を抱えることがあります。字牌単騎待ちで手堅く和了を狙う考え方もあります。

変則的な捨て牌で五が切られた場合、七対子の字牌単騎待ちや、端牌の引っ掛け単騎の可能性があります。

国士無双の一向聴


[牌姿の例]


特定の牌が1枚足りない状態が一般的です。稀に、13種類全てが1枚ずつ揃っていることもあります。

メンチンの一向聴


[牌姿の例]


手牌が全て同じ種類の牌で構成されているが、聴牌していない状態です。何を引いて何を切るかで、待ちの良し悪しが変わります。

手牌が染まっていて聴牌と同時に1牌余る形を「Bクラスメンチン」と言います。聴牌と同時に和了となる形を「Aクラスメンチン」と呼びます。

完全一向聴

両門待ちとシャンポン待ちの両方がある一向聴を、完全一向聴と言います。

例：


[牌姿の例]


受け入れ牌が多く、優秀な形です。手役が見える場合は、手役を優先することもあります。

古くは、完全一向聴を目指す手作りを「沼崎定跡」と言いました。

くっつき聴牌

3面子と雀頭が完成していて、2つの浮き牌がある一向聴を、くっつき聴牌と言います。

例：


[牌姿の例]


受け入れ牌が多く、リャンメン待ちになることもあります。

黄金の一向聴

タンヤオ・平和・三色同順と一気通貫の両方が見えるくっつき聴牌を、黄金の一向聴と呼びます。

例：


[牌姿の例]


高得点が期待できる、非常に良い形です。

仮り聴と0.5向聴

待ちの形や枚数が不十分で、手変わりを期待する状態を、仮り聴と言います。この状態を、0.5向聴と表現することもあります。

向聴取らずと向聴戻し

待ちが悪い、手が安い、危険牌が切りづらいなどの理由で、あえて聴牌にしないことを聴牌取らず、または一向聴戻しと言います。同様に、一向聴にしないことを一向聴取らず、または二向聴戻しと言います。

例：

聴牌取らず：ドラを切れば聴牌だが、愚形のため、あえて聴牌にしない。
一向聴取らず：字牌を切れば一向聴になるが、受け入れが狭いため、あえて字牌を切らない。
* 聴牌崩し：聴牌している状態から、危険牌を掴んだなどの理由で、あえて一向聴に戻す。

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