七対子

七対子（チートイツ）

七対子（チートイツ）とは、麻雀における役のひとつであり、その和了形を指す麻雀用語です。その名の通り、同じ牌の対子（ペア）を7組揃えることで成立します。2飜役であり、門前役です。通称は「チートイ」や「ニコニコ」など。英語では「Seven Pairs」と呼ばれます。ユニークな点として、緑一色と共にアメリカで考案されたという説があります。中国麻雀では「七対」という名称が用いられています。

概要

麻雀の一般的な和了形は4面子1雀頭で構成されますが、例外となるのが国士無双とこの七対子です。

七対子は、聴牌形が必ず単騎待ちになるという特徴を持ちます。また、門前役であるため、鳴くことができません。そのため、2飜役の中では比較的作りづらいとされています。しかし、待ちの形が良い場合（字牌や端牌など）は、リーチをかけることで打点上昇を狙えます。また、裏ドラが2枚乗る可能性もあり、爆発的な得点力を持っています。他家の仕掛けやリーチに対して、危険牌を避けながら七対子に受けて和了を目指すなど、攻守に柔軟に対応できる役でもあります。土田浩翔や金子正輝など、七対子を好んで使うプロも少なくありません。一方で、新津潔や飯田正人などは、和了形があまり綺麗ではないとして、七対子を嫌う傾向があります。

タンヤオ、混一色、清一色、混老頭などと複合する可能性があります。ただし、223344といった連続した3対子が含まれる場合でも、一盃口とは複合しません。また、二盃口は和了形が七対子と同様に対子7つの形になることが多いですが、高点法により必ず二盃口が優先されます。点数計算においては符の概念が適用できないため、形式的に25符として扱うのが一般的です。

同じ牌4枚を用いて対子2組とみなすことはできないとするのが一般的です。しかし、関西式のルール（ブー麻雀）では七対子の4枚使いを認めている場合が多く、フリー雀荘などで打つ場合は事前に確認しておくと良いでしょう。中国麻雀では4枚使いが可能な上に、4枚使いにすると四帰一という別の役が複合するルールになっています。4枚使いを認める場合は、七対子形の緑一色や清老頭も成立します。

歴史

麻雀研究家の浅見了によれば、明治時代末期にアメリカ人の間で麻雀が流行する中で生まれ、同時期に日本にも伝わったとされています。大正14(1925)年に田辺竹三郎が書いた『麻雀の遊び方』で半満貫の役として紹介されていることからも、この説は裏付けられます。日本に入ってきた当初は2飜もしくは半満貫とされていましたが、やがて100符0飜として計算されるようになり、その後、1飜縛りのルールが普及するとともに50符1飜となり、現在では25符2飜として扱われています。

ルールによっては50符1飜のままになっていることがあり、その場合は七対子のみの手を2飜縛りの局であがることができません。また、役の複合により満貫以上となった場合の点数計算にも差が生じます（例：「タンヤオ七対子ドラドラ赤1」をロン和了した場合、七対子を25符2飜とする一般的なルールなら6飜で跳満ですが、七対子を50符1飜とするルールなら5飜で満貫にしかなりません）。しかし、関東式ルールの広がりやオンライン麻雀の隆盛によって、現在ではほぼ完全に25符2飜で統一されつつあります。

牌姿の例

（例）七対子のみのケース

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待


七対子単体では点数的に安いため、字牌や筋ヒッカケになる端牌など、待ちの形が良い牌に受け換えてリーチを打つことも多いです。

（例）他の役が複合しているケース

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待


混一色が複合しています。このようなホンイツ七対子の形は、使える牌の種類が限られるものの、リーチや裏ドラで倍満や三倍満まで狙える強力な手です。234の部分で一盃口の形になっていますが、あくまで対子手なので一盃口はカウントしません。

（例）一般的には七対子とは認められないケース

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通常はとのシャンポン待ちの牌姿ですが、七対子の4枚使いを認める場合は単騎待ちの七対子にも取れます。その場合、二筒または三筒であがればタンヤオ一盃口、八索であがればタンヤオ七対子となります。しかし、通常のリーチ麻雀では七対子の4枚使いを認めておらず、この牌姿はシャンポン待ちのタンヤオ一盃口とするのが一般的です。

（例）高点法により七対子には取らない牌姿

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ロン


このような牌姿は、高点法に基づいて七対子ではなく二盃口に取るのが普通です。七対子に取ると、この手は七対子のみで子1600点/親2400点にしかなりませんが、二盃口に取ると、二盃口+平和で子7700点/親11600点になります。この例に限らず、七対子にも二盃口にも取れるケースでは、二盃口に取る方が点数が高くなります。

戦略

（例）七対子の一向聴で、対々和の二向聴でもある牌姿（東1局/子/8巡目）

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ドラ表示牌


上記の手牌では、たとえばが出たらポンして対々和に向かう手もあります。しかし、対々和にすると、ドラも役牌もないので、せいぜい2600点にしかなりません。その後のツモに恵まれれば三暗刻の可能性も残りますが、暗刻が1つしかないこの状態からではやや苦しいです。一方、この牌姿は七対子の一向聴でもあります。ポンせずに七対子にしておけば、リーチで3200点、リーチツモで6400点、裏ドラ次第では満貫・跳満になります。

表ドラを対子・暗刻で持っている場合や役牌がある場合は戦略が異なってきます。ドラが含まれている場合、対々和なら確実に満貫、七対子ならダマテンで6400点、リーチで満貫となります。役牌が含まれている場合は、対々和で5200点となります。字牌や端牌など鳴きやすい牌がある時は、他家の切り牌を利用できる分、対々和に向かう方が有効な場合もあります。ただし、場に2枚枯れている対子（死に牌）が手牌に含まれている場合は必ずしもこの限りではありません。

和了形としての七対子

2010年現在の一般的な日本の麻雀ルールにおいて、七対子形式の和了形で定義される役は七対子だけであることから、役としての七対子と和了形としての七対子はほぼ一緒であることが多いですが、例外もあります。字牌は7種類あるため、字一色を七対子の形であがることが可能ですが、これは役満であるため役としての七対子はルールで消滅します。

ローカル役満では大車輪が七対子とも二盃口とも取れる牌姿ですが、ごく稀に七対子形式として定義されていることがあります。また、字一色の七対子を大七星という名称でダブル役満としているローカルルールもあります。いずれの場合も、七対子は役というより和了形の意味合いが強いです。

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