一式輸送機

一式輸送機について

一式輸送機（いっしきゆそうき）は、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍のために開発された輸送機であり、試作名称はキ59です。この機体の製造は、日本国際航空工業が担当しました。

開発の経緯

1938年9月、当時の航空機として使用されていたフォッカー スーパーユニバーサルとエアスピード エンボイに代わる旅客機を求めるニーズがありました。これを受けて、大日本航空が国際に試作を依頼し、1939年4月にTK-3という純国産の双発旅客機が完成しました。しかし、この機体は大日本航空の実用審査で搭載量不足と重量過大の理由から不採用となりました。

その後、陸軍がこの機体に注目し、エンジンの換装や胴体の改設計を指示しました。その結果、試作機はキ59として発注され、1940年に完成しました。そして1941年には正式に一式輸送機として制式採用が決まりました。

構造と性能

一式輸送機は、全木製の主翼と鋼管骨組みに合板を使用した胴体を持つ双発高翼機です。主脚は固定式であり、エンジンにはハ13（450hp）が2基搭載されています。この機体は原型機TK-3と比較して胴体や垂直尾翼が大幅に改設計されており、搭載量や最大速度、上昇力が向上しました。また、短期間かつ比較的安価に生産できるという特長も持っています。

ただし、制式採用される時期にはやや時代遅れとなっていたため、同時期に採用された一式双発高等練習機の輸送機型がより優れた性能を示すこととなりました。そのため、試作機を含めて20機で生産が打ち切られました。

運用と用途

この機体は比較的小型で稼働率も良好だったため、陸軍では主に司令部飛行班の人員輸送機として活用されました。また、一部の機体は練習機としても使われたとされています。さらに、少数の機体は満州航空で旅客機としても運用されることがありました。

減少していく運用

一式輸送機の使用は次第に減少していきましたが、その性能はこの時代の戦闘機の中では評価されていました。この機体の存在は、当時の日本の航空技術の一端を示すものであり、今でもその性能や運用方法に関心が寄せられています。

スペック

• - 全長: 13.40m
• - 全幅: 17.00m
• - 全高: 3.05m
• - 自重: 2,880kg
• - 全備重量: 4,400kg
• - エンジン: ハ13甲 空冷星型9気筒 450hp×2
• - 最高速度: 307km/h
• - 航続距離: 800km
• - 乗員: 3名 + 乗客8名

このように、一式輸送機はその開発背景や運用方法、性能面での特徴を持つ重要な航空機であり、戦時下での日本の航空機産業における一つの成果と言えるでしょう。

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