一柳末礼

一柳末礼（ひとつやなぎ すえひろ）

一柳末礼は、江戸時代前期から中期にかけての大名であり、播磨国小野藩の第3代藩主として知られています。

生涯

慶安2年（1649年）に、先代藩主である一柳直次の長男として誕生しました。母は先々代の一柳直家の娘でした。

万治元年（1658年）12月に父が亡くなったため、翌万治2年（1659年）2月7日に11歳という若さで家督を継承しました。同年2月13日には徳川家綱に初めて謁見しています。寛文元年（1661年）には、従五位下対馬守に叙任され、寛文4年（1664年）には領知朱印状の発給を受けました。寛文9年（1669年）には初めて領地に入りました。天和元年（1681年）には土佐守に遷任されています。

貞享4年（1687年）には、松平伊行を預けられました。元禄5年（1692年）には大番頭に、元禄15年（1702年）には留守居役、元禄16年（1703年）には御側衆となりました。

宝永6年（1709年）、徳川家綱の死去に伴い、職を辞して柳間伺候となり、小野一柳家の例となりました。正徳2年（1712年）2月13日、64歳で生涯を閉じました。

功績と逸話

一柳末礼は、1590年の山中城の戦いで討ち死にした一柳直末の供養に尽力しました。延宝8年（1680年）には、直末の正室であった黒田孝高の妹の供養塔を、京都の金戒光明寺に建立しました。元禄11年（1698年）には、笹原新田の一柳庵にあった一柳直末の墓を、山中新田（山中城跡）の宗閑寺に移しました。

元禄年間成立と考えられる『土芥寇讎記』には「一柳末朝」の名で掲載されており、「行跡、言語に絶えたり」と酷評されています。その理由として、「文武を心掛けて神道も学んでいるが、生まれつきの利発さに慢心して行状が良くない」こと、さらに「好色で美女を多数抱えるとともに男色にも耽り、寵愛の若衆を侍に取り立てている」、「同腹の弟である猪右衛門が藩政への参加を望んでも用いず蟄居させた」などが挙げられています。

系譜

末礼には4人の子がいましたが、全て娘だったため、次弟の直昌を養嗣子として迎えました。しかし、その直昌が末礼に先立って早世したため、直昌の長男である末昆を養嗣子として迎え、跡を継がせることとなりました。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第六百四
『寛政重修諸家譜 第四輯』（国民図書、1923年）
『新訂寛政重修諸家譜 第十』（八木書店、1965年）
一柳貞吉『一柳家史紀要』1933年

外部リンク

* デジタル版 日本人名大辞典+Plus『一柳末礼』 - コトバンク

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