一柳直家

一柳直家

一柳直家（ひとつやなぎ なおいえ）は、江戸時代初期に活躍した大名で、伊予国川之江藩の藩主であり、播磨小野藩一柳家の初代藩主としても知られています。

生涯

慶長4年（1599年）に、一柳直盛の次男として伏見で生まれました。母は稲葉氏です。幼少の頃から徳川家康や秀忠に拝謁し、父の証人として江戸で暮らすなど、幕府との関係を深めていきました。

慶長10年（1605年）、7歳の時に駿府で徳川家康に、江戸で徳川秀忠にそれぞれ拝謁しました。その後は江戸で父の証人（人質）として生活し、幕府から「旅資」を支給されるなど、手厚い保護を受けています。徳川秀忠の上洛や大坂の陣にも随行し、慶長14年（1609年）には従五位下美作守に叙任されました。

父である直盛は大坂の陣で徳川方として戦い、その功績により寛永13年（1636年）6月1日に1万8000石余の加増を受け、伊予国西条に転封されました。この時、領地は伊予国新居郡・宇摩郡・周敷郡と播磨国加東郡に及び、石高は計6万8000石余となりました。直家は徳川家光の命により、加増分の中から播磨国加東郡内5000石を分け与えられました。しかし、同年8月19日に直盛が西条へ向かう途中の大坂で急逝しました。

同年11月、直盛の遺領6万3000石余は、3人の息子（直重、直家、直頼）によって分割されることになりました。直家は父の遺領のうち2万3600石を相続し、以前に与えられていた5000石と合わせて、播磨国加東郡、伊予国宇摩郡・周敷郡の3郡で2万8600石を領する大名となりました。これにより、直家は川之江に入部し、川之江藩を立藩しました。翌寛永14年（1637年）には、初めての国入りが認められました。

直家は宇摩郡川之江村の神ノ木（現在の愛媛県四国中央市川之江町）に陣屋（川之江陣屋）を設けました。また、播磨国の分領支配の拠点として、敷地陣屋（現在の小野市敷地町）を築きました。

寛永19年（1642年）5月29日、直家は44歳でこの世を去りました。参勤交代で江戸へ向かう途中、面疔を患い、江戸で急死したと伝えられています。遺体は麻布の祥雲寺に葬られました。

直家には娘しかいなかったため、親族にあたる小出吉親の次男である一柳直次を養子に迎え、娘と結婚させて家督を相続させようとしました。『寛政譜』によれば、直家は病が篤くなった際に相続を願い出たとされています。しかし、当時は末期養子がまだ許されていなかったため、寛永20年（1643年）に家督相続は認められたものの、伊予国内の1万8600石が幕府に没収されることとなりました。その結果、小野藩の所領は播磨国内の1万石のみとなりました。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第六百四
『[寛政重修諸家譜]] 第四輯』（国民図書、1923年） [国立国会図書館デジタルコレクション
『新訂寛政重修諸家譜 第十』（八木書店、1965年）
一柳貞吉『一柳家史紀要』1933年

外部リンク

* デジタル版 日本人名大辞典+Plus『一柳直家』 - コトバンク

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