一柳直照

一柳直照（ひとつやなぎ なおてる）は、寛永期に活躍した旗本です。伊予国西条藩主であった一柳直重の次男として寛永3年（1626年）に伊勢神戸（現在の三重県鈴鹿市神戸）で誕生しました。

13歳で徳川家光に拝謁し、正保2年（1645年）に父・直重が亡くなると、遺領3万石のうち5000石を分与され、旗本家を興しました。領地は宇摩郡内にあり、津根村八日市（現在の愛媛県四国中央市土居町津根）に八日市陣屋を設置し、拠点としました。

直照は領地経営にも尽力し、万治3年（1660年）頃までに室川と加茂川の河口に新田開発を行いました。開かれた5か所の新田は「半弥新田（あるいは半弥新開）」と総称され、この名は直照の通称である半弥に由来すると伝えられています。ただし、分家による本家城下付近の開拓には異論も存在します。

寛文5年（1665年）には、兄である西条藩主・一柳直興が改易されたため、直照が祭祀を継承しました。同年、宇摩郡内の幕府領722石（または651石）が直照に与えられ、これは西条一柳家の祭祀料ではないかと推測されています。

寛文7年（1667年）4月5日、42歳で死去。麻布の妙祝寺に葬られました。家督は嫡男の一柳直増が継ぎました。

直照の家系は、直増の代に播磨国美嚢郡へ移封され、高木陣屋を拠点とする5000石の大身旗本として幕末まで存続しました。江戸時代後期には、一柳直敬が甲府勤番支配、一柳直方が浦賀奉行や日光奉行などの要職を務めました。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第六百三
『寛政重修諸家譜 第四輯』（国民図書、1923年） 国立国会図書館デジタルコレクション
『新訂寛政重修諸家譜 第十』（八木書店、1965年）
一柳貞吉『一柳家史紀要』1933年。

もう一度検索