一次救命処置

一次救命処置（BLS）について

一次救命処置（BLS: Basic Life Support）とは、呼吸や心臓が停止したと思われる人に対して、特殊な器具や医薬品を使わずに施す基本的な救命措置です。具体的には、心肺蘇生法（CPR）や自動体外式除細動器（AED）の使用が含まれます。BLSは、緊急時における救命技術の中でも最も重要なものとされ、迅速な対応が求められます。

BLSの重要性

心停止や呼吸停止に見舞われた場合、脳への酸素供給が途絶え、数分以内に深刻な事態に至る可能性があります。おおよそのデータによると、心肺蘇生が2分以内に始まった場合、救命率は90％ほどですが、4分が経過すると50％、5分では25％にまで落ちてしまいます。推定では、病院外での心停止の約60％が心源性によるもので、そんな時には現場に居合わせた人が迅速に応答するかどうかが、救命率を左右します。

救命の確率が高まる状況として、心室細動や無脈性心室頻拍が発生した場合が挙げられます。特に中年や高齢者に多い心原性心肺停止の場合、適切な処置をすれば心拍が再開するケースが多いのです。

BLSの手順

1. 状況の確認

周囲の安全を確認しましょう。安全が保たれている場合、傷病者に近づき、反応を確かめます。

2. 応援を呼ぶ

反応がない場合、周囲の人に手伝いを呼び、119番通報をお願いしましょう。可能であれば、AEDの取り付けも依頼します。

3. 呼吸の確認

目安として、10秒以内に通常の呼吸が見られない場合は、心肺蘇生を開始します。

4. 胸骨圧迫（CPR）

胸の中央に手を置き、5～6cm沈むように、100回/分の速さで圧迫します。圧迫と圧迫の間は、必ず胸が元の位置に戻るよう心掛けます。

5. AEDの使用

AEDが入手できたら、すぐに使います。音声ガイダンスに従い、指示にしたがって自動的に使用します。胸骨圧迫を続けながら、AEDの取り扱いを行うことで、処置の中断時間を最小限に抑えます。

子供に対するBLS

小児の場合、特に心原性心肺停止が多い成人と異なり、窒息が原因であることがほとんどです。したがって、小児の救助においては、正しい方法での人工呼吸が非常に重要です。小児BLSでは、成人と異なる手順がいくつかありますが、アプローチの根本は共通しています。

1. 窒息の異物除去

小児や乳児においては、異物による窒息診断は迅速に行い、必要に応じて腹部突き上げ法を使います。

2. CPRの開始

心肺停止が確定した場合には、BLSの手順に従いCPRを開始します。BLSの実施は早期が最も効果的です。

法律的な面

日本には「善きサマリア人の法」が存在しないものの、救命行為は民法や刑法の中で保護されます。しかし、具体的な状況や行動によっては、イレギュラーな問題に直面する可能性もあるため、救護者は十分な注意を払う必要があります。

BLSの普及

BLSの知識や技術は、一般市民にも必要です。救命講習やファーストエイドのトレーニングが幅広く行われています。AEDの普及と共に、各地域でのBLS教育の意義が高まっています。日本においても、BLS技術の普及が進んでおり、命を救う選択肢が常に用意される環境が整えられつつあります。

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