一色時家

一色時家の生涯と業績

一色時家（いっしき ときいえ）は、室町時代の名武将であり、鎌倉公方足利持氏の家臣として知られています。彼の活躍は、武士としての忠誠心や戦略的才能を示すものです。時家の名前は、さまざまな歴史的な記録に登場します。喜連川判鑑では「一色刑部小輔 大草子ニ時家」と示され、また一部の文献には「一色刑部大輔持家」と記されています。このことから、彼の身分や地位が窺えます。

時家が足利持氏に仕官した背景には、持氏の母が一色氏の出身であるという説も存在し、もしこれが真実であれば、時家は持氏にとって外戚の関係にあたることになります。応永33年（1426年）には、甲斐国の国人・武田信長を討伐するために派遣され、山梨県大月市の猿橋で交戦しました。

その最中、時家は相模国の守護としての任務を受けていたとされますが、これは持氏が独自に任命したものであり、室町幕府からの正式な承認は得られていなかったと考えられています。このことは、持氏と幕府との対立を助長する原因のひとつとなりました。さらに、応永33年から永享の乱が起こる1438年まで、時家は相模国の守護として在職していた事が確認されています。

永享の乱では、伯父の一色直兼と共に持氏方の指揮官として戦ったものの、敗北を喫します。その後、家族の関係を頼りに三河国に逃れることになりました。1439年、時家は三河宝飯郡の宮島郷に一色城を築き、ここを拠点に勢力を拡大することを目論みます。しかし、1440年には足利義教による一色義貫の誅殺があり、これも持氏方残党の時家を匿ったことが関連しているとされています。

1467年に発生した応仁の乱では、同族の一色氏と連携し西軍に属しました。1476年には、東軍の細川成之が三河で切腹するという事態が発生し、その背景には時家および三河の一色勢との戦闘があったと推測されます。

時家の生涯は、波多野全慶によって1477年に殺害されるという悲劇的な結末を迎えます。この際、時家の被官であった牧野成時によって波多野全慶が討たれ、時家の遺志が受け継がれる形となりました。現在、彼を偲ぶ墓は牛頭山大聖寺にあり、戦国時代に名を馳せた武将の歴史の一ページとして今に伝えられています。

参考資料

その生涯に関する詳細な記録は、今谷明・藤枝文忠編の『室町幕府守護職家事典』や、豊橋市史編集委員会編の『豊橋市史 第1巻』などに記載されています。また、「永享記」や日本歴史文庫シリーズも、彼に関する貴重な情報源となっています。

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