一色満範

一色満範（いっしき みつのり）：室町時代の武将、守護大名

一色満範は、室町時代に丹後一色家を率いた武将、守護大名です。彼の生涯は、室町幕府における一色氏の勢力拡大と、それに伴う内部対立、そして守護大名としての苦悩に満ちています。

生涯

満範は元服の際、時の将軍・足利義満より偏諱を受け「満範」と名乗りました。明徳2年（1391年）に勃発した明徳の乱では、父・一色詮範と共に幕府軍として参戦し、山名氏清・満幸の軍勢を打ち破る軍功を上げます。この功績により、満範は幕府内での地位を高め、翌明徳3年（1392年）正月には丹後国と尾張国知多分郡の守護に補任されました。

河村昭一の研究によれば、当初、父・詮範は山名氏に奪われていた若狭国今富名（若狭国の守護領の中核）を恩賞として望んでいました。しかし、代わりに満範が丹後国を与えられたことで、満範は丹後国に独自の家臣団を編成することになります。

丹後の守護所として加佐郡八田の館に居住した満範は、父と共に守護館の背後にある建部山に建部山城（現在の舞鶴市）を築城しました。応永6年（1399年）に大内義弘が幕府に反乱を起こした応永の乱では、義弘の弟である弘茂を討ち取るという功績を挙げ、幕府中枢における地位を確固たるものとしました。

応永13年（1406年）6月、父・詮範の死去に伴い家督を継承し、一色氏の重代の領国である若狭国と三河国の守護にも補任されます。しかし、父から引き継いだ家臣団と、満範が丹後で新たに編成した家臣団との間で深刻な対立が発生しました。同年10月1日には、京都にある満範の屋敷で三河守護代の小笠原明鎮・長頼父子が捕らえられ、丹後石河城に監禁されるという事件が起こります。さらに2年後の応永15年（1408年）には、明鎮の弟（または叔父）である小笠原長正が三河幡豆郡で一色軍と交戦し、一族郎党と共に敗死するという事態に発展しました。

満範はこれらの事件の直後、応永16年（1409年）1月6日に急逝します。監禁されていた明鎮父子は、その2か月後の3月に切腹を命じられ、一色氏の守護代として勢力を誇っていた小笠原氏は、満範の死と時を同じくして滅亡しました。

一色満範の生涯は、室町時代の守護大名が直面した権力闘争と、家臣団の統率の難しさを示すものとして、歴史に刻まれています。彼の死後、一色氏は一時的に衰退しますが、その後も室町幕府において重要な役割を担い続けることになります。

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