一色義有

一色義有（いっしき よしあり）

一色義有は、戦国時代の武将であり、守護大名として歴史に名を刻んでいます。丹後国（現在の京都府北部）を拠点とした一色氏の当主として、その短い生涯を駆け抜けました。

生涯

一色義有は、丹後一色氏が当主であった一色義秀の自害によって断絶したため、その後を継いで一色氏の家督を相続しました。しかし、当時の丹後国内は、守護代である延永春信や石川直経をはじめとする国人領主たちによる内乱が頻発し、非常に不安定な状況にありました。

永正2年（1505年）に義有は丹後守護に任命されましたが、翌永正3年（1506年）には、室町幕府の管領であった細川政元によって解任されてしまいます。さらに、政元の命を受けた細川澄之、細川澄元、細川政賢、赤沢朝経、三好之長、香西元長、武田元信らの軍勢が丹後に侵攻し、義有はこれら強大な勢力との合戦を余儀なくされました。義有は本拠地の今熊野城に籠城し、守護代の延永春信は阿弥陀ヶ峰城に、石川直経は加悦城にそれぞれ籠って防戦しました。

永正4年（1507年）にも戦いは継続され、府中（現在の宮津市）が戦火に見舞われるなどの被害が出ましたが、丹後側の軍勢は包囲に耐え、持ちこたえました。しかし、その最中の4月に細川政元が京都に戻り、澄之と香西元長も5月に石川直経と和睦して京都へ引き上げました。そして、6月には政元が暗殺されるという大事件（永正の錯乱）が発生します。細川軍は混乱の中で義有と和睦を結び、撤退を図りますが、石川直経がその隙を突いてこれを撃退し、赤沢朝経らを討ち取るという戦果を挙げ、武田軍をも打ち破りました（この追撃は直経の独断専行であったとされています）。

永正5年（1508年）に、義有は再び丹後守護に任じられ、永正7年（1510年）には将軍足利義尹（後の義稙）に太刀と馬を献上しました。永正8年（1511年）には上洛して義尹に軍忠を誓いましたが、永正9年（1512年）に病に倒れ、26歳という若さで死去しました。

義有の死後、未亡人となった妻は萬福寺の再建に尽力し、義有ゆかりの品々を寄進したと伝えられています。

参考文献

山本大・小和田哲男編『戦国大名系譜人名事典 西国編』新人物往来社、1986年。
阿部猛・西村圭子編『戦国人名事典』新人物往来社、1987年。
今谷明・藤枝文忠編『室町幕府守護職家事典〔上〕』新人物往来社、1988年。
宮津市編『宮津市史 通史編 上巻』宮津市、2002年。
* 福島克彦『戦争の日本史11 畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館、2009年。

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