丁髷

丁髷（ちょんまげ）とは

丁髷（ちょんまげ）とは、江戸時代に男性の間で見られた独特な髪型です。具体的には、頭の前方部分から頭頂部にかけて「月代（さかやき）」と呼ばれる部分の毛髪を剃り、残った髪を束ねて結い上げたものを指します。

本来は「本多髷（ほんだまげ）」という名称でしたが、結った髪の形状が「ゝ（ちょん）」という文字に似ていることから、明治初期以降に「ちょんまげ」という俗称が広まりました。

江戸時代の男性が結っていた髷を全て丁髷と呼ぶこともありますが、厳密には、丁髷は主に髪の毛が少なくなった高齢者などが結う髷を指します。一般的に結われていたのは銀杏髷（いちょうまげ）であり、丁髷とは区別されます。

現代においては、大相撲の世界で力士が丁髷を結っています。特に、十両以上の力士（関取）は、本場所の取り組みなど正式な場では大銀杏を結うのが基本です。

丁髷の特徴

頭頂部を剃るという露頂（ろちょう）の風習は、室町時代の末期以降に広まりました。成人男性が月代を剃るという武家の風習は、織田信長や豊臣秀吉の時代から江戸時代の初期にかけて一般庶民にも浸透しましたが、丁髷の結い方は時代によって大きく変化しました。

成人男性の丁髷は、大きく分けて二つの種類がありました。一つは、束ねた髪を元結（もとゆい）で巻き、先端を出す「茶筅[[髷]]（ちゃせんまげ）」、もう一つは、元結の先端を二つ折りにした髷です。元服前の少年は、前髪を残して頭の中央部分を剃る「若衆髷（わかしゅまげ）」を結い、元服後に前髪を剃り落としました。

散髪脱刀令（断髪令）

明治4年8月9日（1871年9月23日）に、散髪脱刀令（いわゆる断髪令）が太政官布告として発令されました。さらに明治6年（1873年）には、明治天皇が断髪したことがきっかけとなり、伝統的な丁髷を結う男性は激減し、洋髪やざんぎり頭が流行しました。

当時の俗謡では、「ちょんまげ頭を叩いてみれば、因循姑息の音がする」「総髪頭を叩いてみれば、王政復古の音がする」「ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」と歌われ、新しい時代への変化を象徴していました。

山川菊栄は、著書『武家の女性』の中で、母方の祖父である青山延寿が、維新前には髷を結うのに大変苦労していたものの、維新後は毎日の髷結いから解放されたというエピソードを紹介しています。

しかし、丁髷に対する愛着や誇りから、散髪に消極的な人もいました。剣術家の榊原鍵吉や、薩摩藩最後の藩主であった島津忠義は、生涯にわたって髷を切らなかったと伝えられています。

キャラクター化された丁髷

漫画やキャラクター商品においては、「ちょんまげ」と称される髪型が簡略化されて表現されることがあります。

ココブ（転生したらスライムだった件） - 「ちょんまげちゃん」という通称で呼ばれています。
コロ助（キテレツ大百科）
はち丸 - 愛知県名古屋市を中心に活動する地域キャラクターです。

関連項目

髷
ハイカラ
丁髷塚

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