丁黙邨

丁黙邨の生涯と業績

丁黙邨（てい もくそん、1903年 - 1947年7月5日）は、中華民国の特務・政治家として知られ、特工総部（通称ゲスフィールド76号）のリーダーを務めました。彼は汪兆銘政権の中で重要な地位を占め、その活動は歴史に多大な影響を与えました。

初期の経歴

丁黙邨は1921年の秋に中国共産党の施存統と出会い、社会主義青年団に加入しました。この団体は後に中国共産主義青年団へと発展します。1924年には中国国民党に加入し、CC団にも属して活動を広げました。特に上海の文化界での存在感は高く、彼は『社会新聞』の主編を務め、同時期に李士群や唐恵民といった有名な同僚と共に働きました。

彼は私立江南学院の学長、その後国民政府の秘書を歴任し、1934年には軍事委員会調査統計局の郵伝検査処の処長に任命されます。この頃、彼は特務リーダーとしての地位を確立し、戴笠や康沢と肩を並べる存在となりました。1938年になると、彼は軍事委員会少将参議に昇進し、武漢特別市政府においても重要なポジションを果たしました。

親日派との接触

同年の冬、丁黙邨は李士群と共に日本軍が占領した上海に赴き、土肥原機関と接触しました。彼らは、親日的な特工隊を編成し、これにより国民党内での影響力を拡大させていきます。1939年に汪兆銘に接触し、国民党の中で重要な役割を果たすようになります。彼は中国国民党第6期（汪派）の執行委員会常務委員に選ばれ、中央社会部の部長、中央特務委員会の副主任委員、そして特工総部の主任を兼任しました。

時が経つにつれ、李士群が「公館派」として力を増し、丁黙邨の権力を脅かすことになります。周仏海率いる「CC派」でも彼の影響力が低下し、李士群に対する不満が次第に高まっていきました。

南京政府での上昇

1940年3月、南京国民政府が正式に成立すると、丁黙邨は中央政治委員会指定委員、軍事委員会委員、そして国民政府行政院社会部の部長に任命されます。翌年には交通部部長に転任し、さらに1943年には社会福利部の部長となりました。戦争終結前の1945年5月、彼は浙江省の省長や省保安司令といった要職を兼任していました。

終焉と逮捕

日本の敗北後、一時は蔣介石の国民政府に再任用されたものの、後に漢奸と見なされ、逮捕されることとなります。1947年2月、彼は死刑判決を受け、同年7月5日に南京で処刑されました。享年は45歳でした。

参考文献

丁黙邨の生涯や業績については、以下の資料を参考にすることができます。

• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』（河北人民出版社、2007年）
• - 劉傑『漢奸裁判 対日協力者を襲った運命』（中央公論新社、2000年）
• - 東亜問題調査会編『最新支那要人伝』（朝日新聞社、1941年）

彼の複雑な道のりは、中華民国の turbulentな時代を象徴しています。

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