七北田丘陵

七北田丘陵：仙台の自然と歴史を織りなす丘陵地帯

宮城県仙台市の中南部に広がる七北田丘陵は、奥羽山脈を源とする舌状台地で、松島丘陵と並行して東西に伸びる地形です。七北田川を北端、広瀬川と梅田川を南端、長町-利府線断層帯を東端とする広大な範囲を指します。西端は奥羽山脈へと繋がるため明確に定義されていません。

地質と地形：二つの丘陵と段丘

七北田丘陵は地質によって大きく二つの地域に分けられます。大崎八幡宮の西側から国見峠、泉ビレジの南側を通る線を境に、北東側は主に仙台層群からなる狭義の七北田丘陵、南西側は梨野層からなる権現森丘陵（または国見丘陵）と区分されます。権現森丘陵の最高峰は権現森山（標高314m）です。権現森丘陵は、広瀬川を挟んで対峙する蕃山丘陵（最高峰は西風蕃山、標高373m）と地質が類似しており、合わせて「西風蕃山-権現森丘陵」と呼ばれることもあります。

七北田丘陵（狭義）の南側には台原段丘が広がり、かつて広瀬川の河岸段丘であった名残を示しています。標高40～90mの台原面と、その南側に位置する段丘崖が特徴的です。また、梅田川以南の樹枝状丘陵部は北山丘陵と呼ばれています。

歴史と開発：住宅地と自然の共存

七北田丘陵は仙台市を東西に貫き、その尾根線が泉区と青葉区の境界線となっています。特に権現森山東側の国見峠は、合併前の旧宮城町との境界でもありました。狭義の七北田丘陵と権現森丘陵では、地質の違いや旧自治体の違いから、土地利用に大きな差が見られます。

狭義の七北田丘陵は、高度経済成長期以降、住宅地として急速に開発が進み、仙台市の人口増加を支えました。一方で、「杜の都の環境をつくる条例」（1973年制定）に基づき、自然林の保全にも努められ、台原森林公園、水の森公園、台原緑地など、多くの緑地が市民の憩いの場として整備されています。

これに対し、権現森丘陵は開発が比較的少なく、現在も大部分が森林として残されています。しかし、仙台市の西端地域には、火葬場や仙台市葛岡墓園、葛岡清掃工場などが設置されています。

文化と信仰：城下町と寺社

北山丘陵と台原段丘は、仙台城城下町の北端を形成し、広瀬川の河岸段丘より一段高い位置にあります。これらの丘陵地帯には、大崎八幡宮、北山五山、青葉神社、仙台東照宮など、歴史的な寺社が数多く集まっています。仙台城は、軍事的な理由から周囲を丘陵地で囲まれた場所に築城されたため、西から南側の青葉山丘陵や東側の榴ヶ岡なども、北山丘陵・台原段丘と同様に寺社が集中しています。

西風蕃山-権現森丘陵は、広瀬川中流域を西側の愛子盆地と東側の仙台平野に区分しています。広瀬川は、権現森丘陵と蕃山丘陵の間を蛇行しながらV字谷を形成し、国道48号（作並街道）やJR仙山線も同様に蛇行して通っています。

その他の特記事項

台原段丘は古くは「杉山」「杉山台」と呼ばれており、仙台城側から続く3本の南北道が上杉山通、中杉山通、杉山通と名付けられています。これは、仙台城下町において「○○に通じる道」を「○○通」と命名する慣習によるものです。また、北山丘陵とその麓には、江戸時代から続く湧水が多く存在しています。

七北田丘陵は、仙台市の歴史、文化、自然が複雑に絡み合った貴重な地域であり、これからもその自然と歴史が大切に守られていくことが望まれます。

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