七郷輪中

七郷輪中（ななさとわじゅう）について

七郷輪中、またの名を福永輪中とは、三重県北部に所在した輪中の一つで、揖斐川の右岸に位置していました。この地域は、現在の桑名市の旧多度町にあたり、揖斐川、山除川、多度川に囲まれたエリアとして知られています。七郷輪中は、その位置的特徴から、揖斐川右岸の輪中の中で最も下流にあたります。

地理的特徴

七郷輪中は、自然の河川に囲まれた地域であるため、農業や漁業など、地域の生活に水が不可欠でした。この地形により、大雨や洪水の影響を受けやすく、近年までその影響が残ることがありました。特に揖斐川の水害は、地域住民にとって深刻な問題でした。

歴史的な背景

輪中の形成

江戸時代以前、七郷輪中の西側では香取川が流れ着、次第に山除川や多度川、さらに肱江川と合流しています。この流れが、七郷輪中を形成した要因の一つです。七郷輪中の開発は、関ヶ原の戦いの後、17世紀前半にようやく軌道に乗り、田んぼや桑の栽培が盛んになりました。特に桑は養蚕に用いられ、当時の経済に大きく貢献していたのです。この地は桑名藩に属していましたが、1710年の野村騒動を経て、松平忠雅が藩主となった後は天領となりました。

手伝普請の必要性

江戸時代中期には、揖斐川上流や山除川からの土砂が堆積し、香取川は天井川状態となりました。この状況を受け、江戸幕府が河川の改善を求められることとなります。1748年、二本松藩の手伝普請では、上之郷村に「御元小屋」が設置され、香取川では約3.5キロメートルの浚渫工事が行われました。この工事では、掘り出した土砂を利用して七郷輪中内のかさ上げを行いました。

1754年には薩摩藩による手伝普請が実施され、揖斐川の疎通改善策として香取川の廃川化が提案されましたが、潰地の発生を懸念し、計画は廃案となりました。

木曽三川分流工事

明治時代には、ヨハニス・デ・レーケの計画に基づいて木曽三川分流工事が行われました。1990年から始まった第3期工事では、まず揖斐川沿いの約4キロメートルの堤防の引堤が行われ、その後香取川が廃川になりました。香取川の旧河道は、山除川や多度川が揖斐川へ合流する河道として活用されました。このように、大規模な工事を通じて、地域の水害対策や農業の安定が図られました。

まとめ

七郷輪中は、地理的な背景や歴史的な出来事を通じて、地域の発展と水害対策に関する重要な事例を示しています。江戸時代から明治時代にかけて、多くの工事が行われ、地域社会は変化していきました。現代においても、この地域の地形や水の利用は重要なテーマであり、先人たちの努力が今の生活にも影響を与えていることを忘れてはなりません。

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