三つの代表

三つの代表

「三つの代表」とは、2000年2月に江沢民が広東省を視察した際に発表した重要な思想・スローガンです。この概念は、中国共産党が何を代表すべきなのかを明確にし、党の基幹理論として位置付けられています。

概要

この思想は、中国共産党が以下の三つを代表することを示しています。

1. 先進的な社会生産力の発展の要求
2. 先進的文化の推進
3. 最も広範な人民の根本的利益

2002年の第16回中国共産党大会では、江沢民が上記の三つの代表が党の基本であることを再確認しました。これにより、従来のマルクス・レーニン主義や毛沢東思想、鄧小平理論と並んで重要な思想として党の規約に盛り込まれました。特に、従来の党の位置づけが特定の階級に限られないことを強調する修正が行われました。具体的には、「中国共産党は労働者階級の前衛部隊である」という文言に、「同時に中国人民と中華民族の前衛部隊である」という追記がなされました。

さらに、2004年3月の全国人民代表大会における憲法改正により、三つの代表は憲法の序文にも記載されました。現在でも、この理論は党の活動において中心的な役割を果たしており、各地で開催される党や市の政策会議においても頻繁に取り上げられています。

意義

「三つの代表」が提唱される以前、中国共産党は労働者階級を代表し、農民階級を同盟者として資本家階級に対して敵対するという立場を取っていました。中華人民共和国の枠内では、愛国的資本家を代表する衛星政党の存在は認められていたものの、それはあくまで党外の存在でした。しかし、社会主義市場経済の進展に伴い、共産党は経済を主導する企業家を排除することができず、党と企業家との関係は従来の階級政党の枠組みと矛盾する状況となっていました。

「三つの代表」の考え方は、こうした矛盾を解消するための理論的根拠として機能しました。その一方で、共産党が労働者階級の前衛部隊であり、その最終的な目標が共産社会の建設であるという基本的な立場は維持されています。このため、後の党規約改正においても、旧来の条項はそのまま保持されています。

このように、「三つの代表」は、中国の経済政策や社会変革を理解する上で欠かせない思想であり、共産党の役割や方向性に深く関わっています。

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