三井アルミ社長宅爆破事件

三井アルミ社長宅爆破事件：背景と全容

1977年6月30日未明、東京都世田谷区下北沢で発生した三井アルミ社長宅爆破事件は、新左翼活動家であった加藤三郎によって引き起こされた爆弾テロ事件です。この事件は、単なる爆弾事件としてだけでなく、当時の社会情勢や新左翼運動、そしてグローバルな問題意識が複雑に絡み合った事件として注目されました。

事件の背景：三井アルミとアマゾン開発

事件の背景には、三井アルミニウム工業（現KMアルミニウム）がブラジル政府の要請に応じ、アマゾン川流域でのアルミニウム事業に深く関与していたことがあります。加藤三郎は、この三井アルミの事業を「日本のアマゾン侵略とインディオに対する迫害に加担している」と捉え、爆破という手段で抗議することを決意しました。

事件の概要：爆破と犯行声明

当初、加藤は三井アルミ本社を標的に考えていましたが、本社が雑居ビル内にあったため、爆弾の設置が容易な社長宅を標的としました。1977年6月30日午前2時59分頃、社長宅の玄関前で爆発が発生。玄関の門が吹き飛び、近隣の住宅にも被害が及びました。幸い、社長は不在で、妻と長男に怪我はありませんでした。

事件後、加藤は「世界革命反日戦線・タスマニア1876」名義で犯行声明を発表しました。声明文は漫画雑誌「ビッグコミック」から切り取った「ブタの鼻」で封印され、アタワルパ・ユパンキのレコードジャケットに挟み込まれて、マスコミにその存在が知らされました。声明文には、三井アルミのアマゾン事業からの撤退要求が記されていました。

犯行声明に込められたメッセージ

加藤の主張によれば、「タスマニア1876」とは、1876年に純粋なタスマニア人が絶滅したことに由来します。これは、アマゾン開発によって追い詰められるインディオへの連帯を示すものでした。また、「ブタの鼻」による封印は、過去の東大法文1号館爆破事件との繋がりを暗示するものでした。

事件が残した問い

三井アルミ社長宅爆破事件は、企業の海外進出と環境問題、先住民族の権利、そして過激な抗議手段の是非など、様々な問題を提起しました。加藤三郎の行動は、現代社会においても、グローバルな問題に対する個人の責任と行動について、私たちに深く考えさせるきっかけとなっています。

参考文献

『朝日新聞』1977年6月30日夕刊
『読売新聞』1977年6月30日夕刊
加藤三郎『意見書 「大地の豚」からあなたへ』思想の科学社、1992年

関連項目

新左翼
日本原住民論
反日亡国論
* 世界革命論

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