三原城

三原城：瀬戸内海に浮かぶ浮城の歴史と遺構

三原城は、現在の広島県三原市にあった日本の城で、国の史跡に指定されています。その特徴的な構造から「浮城」とも呼ばれ、2017年には続日本100名城にも選定されました。

三原城の概要

最盛期の三原城は、本丸を中心に二の丸、三の丸、そして築出を設けた梯郭式の構造でした。海に面して船入りを備え、満潮時にはまるで海に浮かんでいるかのように見えたことから、「浮城」という異名を持ちます。

歴史

築城の背景

三原城の整備は、永禄10年（1567年）頃に小早川隆景によって始められました。隆景は、瀬戸内海の制海権を握るために、この地を重要拠点と位置付け、水軍の拠点として活用しました。当初は「三原要害」と呼ばれる砦のようなものでしたが、後に本格的な城郭へと発展していきます。

海城としての完成

天正8年（1580年）から10年にかけて、隆景によって三原要害はさらに整備され、海城としての威容を現しました。隆景は新高山城から三原城へと本拠を移し、瀬戸内海の軍事的要衝としての役割を担わせました。縄張りは梯郭式で、本丸には壮大な天主台が設けられました。

豊臣政権下、そして江戸時代

天正15年（1587年）に隆景は筑前国を加増され、名島城へ移りますが、後に三原に戻り隠居しました。この時期に再び三原城の修築が行われ、城はさらに要塞化されました。隆景の死後、関ヶ原の戦いを経て福島正則が城主となり、その後浅野氏が広島藩の支城として幕末まで利用しました。

明治以降の変遷

明治維新後、三原城は海軍鎮守府の建設予定地となりますが、後に計画は中止。建物や樹木は競売にかけられ、城の石垣は鉄道建設や港湾工事の資材として利用されました。現在では、天主台や堀の一部、石垣などが残るのみとなっています。

遺構

現在、三原城跡には以下の遺構が残っています。

天主台跡: 本丸北側に位置し、周囲を石垣で囲まれた高台。かつてはここに天守が建てられる予定でした。
本丸中門跡の石垣: JR三原駅南口の再開発ビル「ペアシティ」西側に残っています。
東舟入櫓跡: イオン三原店西側に、瀬戸内海に面していた石垣が現存しています。
西船入櫓跡: 三原国際ホテル横に保存されています。

これらの遺構は、かつての三原城の壮大さを偲ばせる貴重なものです。

城下町の文化

三原城の築城を祝って始まったとされる「やっさ祭り」は、現在も三原を代表する祭りとして受け継がれています。また、城下には徳川家光の落胤とされる月渓院の墓所がある大善寺があり、徳川家との深いつながりを示す葵の紋が境内の随所に見られます。

見学情報

天主台跡へはJR三原駅コンコース内からアクセスできます。入場は無料で、通路は朝6時から夜10時まで開放されています。また、舟入櫓跡は港町公園として整備されており、常時見学可能です。

三原城は、瀬戸内海の歴史と文化を物語る貴重な史跡です。かつての城の姿を想像しながら、その遺構を巡ってみてはいかがでしょうか。

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