三国志 (アニメ映画)

『三国志』アニメ映画三部作

『三国志』は、1992年から1994年にかけて公開された、シナノ企画による製作、東映が配給を担当したアニメ映画の三部作です。この作品は、中国の古典文学『三国志演義』を基にしており、壮大な歴史と魅力的なキャラクターたちが描かれています。

概要

この三部作は、制作に15億円の費用をかけ、約10年の歳月をもって完成しました。アニメーション制作を実質的に手掛けたのは、当時の東映動画（現在の東映アニメーション）であり、この作品を通じて日本のアニメの新たな可能性を開拓しました。

第一部『英雄たちの夜明け』

第一部では、黄巾の乱から呂布の死までのドラマが描かれています。豪傑たちが争う中での友情や裏切り、英雄たちの運命が交錯し、視聴者は中国の歴史の一端を体感することができます。

第二部『長江燃ゆ！』

第二部では、劉備が曹操のもとで成長し、最終的に蜀漢を建国する過程が描かれています。この部では、赤壁の戦いという日本でも非常に知られた戦闘が中心的に取り上げられ、その後の蜀の歴史に繋がる重要な展開が描写されています。原画スタッフには、アニメ界で名高い荒木伸吾や姫野美智も参加し、ビジュアル面でも高い評価を得ています。

完結編『遥かなる大地』

完結編では、オリジナルキャラクターである関羽の娘・鳳姫が登場し、物語の後半は諸葛亮孔明とのオリジナルストーリーがメインになります。映画のクライマックスでは、孔明が最後の戦いに臨む場面が描かれ、彼の運命が大きく動く瞬間が視聴者に深い感動を与えます。監督の勝間田具治は、この作品のストーリー変更の経緯として、中国でのロケの際に天安門事件に遭遇し、それが作品に影響を与えたと語っています。あわせて、このロケで撮影された映像も第一部のエンディングに使用されています。

制作とキャスト

制作には吉成孝昌や岡田裕介が名を連ね、プロデューサーには荻野豊太郎や勝間田具治が関与しました。監督の勝間田具治の指揮のもと、キャラクターデザインは角田紘一が担当し、音楽は横山菁児が手掛けています。また、完結編では当初予定されていた声優の渡哲也が病気のため、弟の渡瀬恒彦が役を引き継ぎました。

主題歌

三部作のエンディングテーマは、谷村新司が作詞・作曲を手掛けた「風姿花伝」で、感動的なメロディーが映画の余韻を深めます。また、第三部には挿入歌もあり、特に五丈原の戦いにおいては、孔明の壮絶なラストシーンを引き立てる要素となっています。

『三国志』は、日本におけるアニメ映画の金字塔として、多くのファンに愛され続けています。そのドラマティックなストーリーラインと、深いキャラクター描写は、観る者を引き込む魅力に満ちています。

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