三国線

三国線：北陸の港町と結んだ、短い歴史のローカル線

三国線は、福井県坂井市にあった国鉄の鉄道路線です。現在の芦原温泉駅にあたる金津駅から、三国港駅までを結んでいました。北陸有数の港湾である三国港と北陸本線を繋ぐ重要な役割を担い、1911年の開業以来、地域住民の生活や経済を支えてきました。しかし、時代の流れとともに利用客が減少し、1972年に全線廃止という運命を辿ることになります。

三国線の歴史：港湾と鉄道の連携から廃止へ

1911年、官設鉄道によって金津駅から三国駅までが開業。その後、三国港への延伸、旅客営業開始を経て、三国線は徐々にその規模を拡大していきます。1928年には、三国芦原電鉄（後の京福電気鉄道三国芦原線）が開業。三国線と並行して運行されるようになり、競争が激化することになります。太平洋戦争中には不要不急線として休止、戦後復活するも、モータリゼーションの進展や京福電気鉄道との競合により利用客は減少の一途を辿りました。1972年、ついに全線が廃止。短いながらも、三国港と地域の繋がりを支えてきた歴史は、地元住民の記憶に深く刻まれています。

路線概要と運行形態：単線非電化のローカル線

三国線は、全長約9.8kmの単線非電化路線でした。途中には芦原駅、三国港駅があり、北陸本線への直通列車も運行されていました。しかし、晩年は金津～芦原間を往復する列車が中心となり、その運行規模は縮小していきました。使用車両は、蒸気機関車や気動車など、時代に合わせて変化しています。

三国線の駅：主要駅と周辺環境

三国線には、金津駅、芦原駅、三国駅、三国港駅の4つの駅がありました。金津駅は北陸本線との接続駅であり、三国港駅は三国港へのアクセスを担っていました。各駅周辺には、芦原温泉や東尋坊といった観光地があり、観光客の利用も期待されましたが、競合路線の影響やモータリゼーションの普及により、その効果は限定的でした。

廃止後の三国線：代替バス路線と遺産

三国線の廃止後、代替路線として国鉄バス（後に京福バスへ譲渡）が運行を開始しました。現在では、三国線自体は廃止されていますが、全駅の跡地はえちぜん鉄道の駅として存続しています。三国線は、その短い歴史の中で、港湾と地域社会を繋ぐ役割を担い、その痕跡は現代に残されています。

年表：主要な出来事

1911年：金津～三国間開業
1913年：三国港荷扱所開設
1914年：三国港駅開業
1927年：三国～三国港間通年旅客営業開始
1944年：不要不急線として休止
1946年：金津～芦原間営業再開
* 1972年：全線廃止

まとめ：地方鉄道の盛衰と記憶

三国線は、地方鉄道の興亡を象徴する路線の一つと言えるでしょう。港湾と地域を繋ぐ役割、競合路線との競争、モータリゼーションの普及など、様々な要因が複雑に絡み合い、その歴史を彩りました。廃止から年月が経ちましたが、三国線の存在は、地域の記憶として、そして地方鉄道の歴史の一ページとして、今なお語り継がれています。 その歴史を学ぶことで、地方交通の課題や、地域社会の変遷を理解する上で貴重な資料となるでしょう。 また、当時の車両や運行形態を知ることで、現代の鉄道システムとの違いを理解し、未来の鉄道を考える上での参考資料にもなります。

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