三大事件建白運動

三大事件建白運動について

三大事件建白運動は、1887年10月に片岡健吉が元老院に提出した「三大事件建白書」を契機にして形成された政治運動であり、大同団結運動と並ぶ自由民権運動の重要な一部として位置づけられています。

背景

この運動の背景には、1886年に発生した第1次伊藤内閣における条約改正の試みがあります。当時、外務大臣の井上馨が外国使節団との会議を通じて、日本側の提案がさまざまな譲歩を含んでいたため、国内での不満が高まっていました。具体的には、関税の引き上げや外国人判事の任用などが問題視され、多くの政治家や法律顧問から反発の声が上がりました。

特に、小村寿太郎や鳥尾小弥太、法律顧問ボアソナードはこれに強い反対意見を表明し、翌1887年には農商務大臣谷干城が辞表を提出する騒動に発展しました。この一連の出来事が民権派の反政府感情をさらに助長し、東京では学生や壮士によるデモが展開されました。

片岡健吉の建白書

こうした混乱の中で、高知県の民権派を代表する片岡健吉は、今回の問題の根源には国辱的な欧化政策と政府による言論弾圧があると主張しました。彼は、次の三つの要点を柱とした建白書を作成しました。第一に、言論の自由を確立すること。第二に、地租の軽減によって民心の安定を図ること。第三に、外交の回復を実現するため、対等な立場での条約改正を求めるものでした。

このような主張は、当時進行中の大同団結運動とも密接に関係しており、片岡の他にも尾崎行雄や星亨といった人物が民権派の団結を促し、政府に対する批判を強めていきました。

政府の反応と運動の挫折

しかし、政府はこの運動に対し厳しい対応を取り、1887年12月には保安条例を発布しました。この結果、片岡をはじめとする多くの運動家が逮捕・追放され、三大事件建白運動は挫折を余儀なくされました。また、この運動の失敗は大同団結運動にも影響を及ぼし、運動が分裂する要因となりました。

自由民権運動はこの時点で大きな岐路を迎え、多くの活動家がその後の運動の方向性を模索することになりました。

まとめ

三大事件建白運動は、言論の自由や外交の回復を求める重要な政治的試みであり、当時の日本社会における民権の意識の高まりを示すものでした。しかし、政府の弾圧によって運動は挫折し、結果として自由民権運動の行く先を変えるきっかけともなりました。この運動は、片岡健吉をはじめとする民権派の活動と結びついており、その後の政治運動にも強い影響を与え続けました。

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