壮士

壮士（そうし）

壮士という言葉は、中国の古典『戦国策』や『史記』に登場するのが語源です。日本では、明治時代の自由民権運動において、独特な役割を担った活動家たちを指す言葉として用いられました。

概要

日本の歴史における壮士とは、1880年代の自由民権運動期に活躍した職業的な政治活動家を指します。その多くは、士族や自作農の子弟で、若さと行動力を武器に政治活動を展開しました。元来、壮士には血気盛んな若者という意味合いもあります。

特に、1883年（明治16年）頃から、自由民権運動への弾圧や自由党と立憲改進党の対立が激化する中で、壮士の活動は活発化しました。彼らは、大同団結運動や三大事件建白運動、そして帝国議会開設といった、明治初期の重要な出来事に関わりました。

壮士の主な活動内容は、演説会における参加者の安全確保、警察や反対党による妨害活動の阻止、さらには聴衆を盛り上げるサクラ的な役割でした。星亨、大井憲太郎、尾崎行雄といった政治家たちも、自身の政治活動に壮士を活用しました。

しかし、壮士の中には、蓬髪高履（ほうはつこうり）の姿で仕込杖を携え、官憲や対立党派に対して暴力行為に及ぶ者もいました。このような過激な行動は世論からの批判を浴び、政府による保安条例などの弾圧を正当化する口実にも利用されました。一方で、川上音二郎のように、壮士をテーマにした芝居を創り出すなど、独創的な活動を行った者もいました。

明治憲法体制が安定化するにつれて、壮士の活動は徐々に衰退していきました。しかし、その中には、院外団や大陸浪人として、新たな活動の場を求める者もいました。

参考文献

後藤靖「壮士」『国史大辞典』 8巻、吉川弘文館、1987年。ISBN 978-4-642-00508-1。
安在邦夫「壮士」『日本史大事典』 4巻、平凡社、1993年。ISBN 978-4-582-13104-8。
佐藤能丸「壮士」『日本歴史大事典』 2巻、小学館、2000年。ISBN 978-4-09-523002-3。

外部リンク

伊藤痴遊『伊藤痴遊全集. 続 第10巻「壮士物語」』平凡社、1929年。 - 壮士が起こした数々の事件をもとにした作品

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