三好実休

三好実休：戦国時代の知将、文化人としての側面

三好実休（みよし じっきゅう）は、戦国時代の武将であり、三好氏の重臣として活躍しました。兄である三好長慶を支え、阿波国を中心とした四国での勢力拡大に貢献しましたが、その生涯は多くの謎に包まれています。また、武将としての側面だけでなく、茶道にも深く傾倒し、文化人としても名を残しています。

生涯

生まれと幼少期

大永7年（1527年）、三好元長の次男として生まれた実休は、幼少の頃から政治的に重要な立場に置かれました。父の戦死後、兄の長慶と共に三好氏を支えることとなります。幼名は千満丸とされ、その署名が残る寄進状は、父の死から49日後にあたる天文元年（1532年）に作成されたものです。

阿波での活躍

兄の長慶が細川晴元に仕える一方で、実休は阿波守護家の細川氏之に仕えました。これは、四国における三好氏の影響力を保持するための戦略的な行動でした。天文8年（1539年）には、氏之に従い、伊予国の河野氏との戦いに参加し、軍事的な手腕を発揮しています。その後、兄に従い京都に入り、豊前守を名乗るようになりました。

舎利寺の戦いと勢力拡大

天文16年（1547年）の舎利寺の戦いでは、阿波の軍勢を率いて細川氏綱らを破り、その名を轟かせました。その後も、兄・長慶の勢力拡大に伴い、各地を転戦。弟の十河一存が和泉岸和田城主となると、讃岐も事実上支配下に組み込み、三好家の四国方面における政治・軍事を担当しました。

細川氏之殺害とその後

天文22年（1553年）には、十河一存と共に主君の細川氏之を殺害し、その子を擁立。これにより阿波細川家の実権を掌握し、阿讃衆を三好政権の統制下に置きました。しかし、この行為は多くの反感を買うことになり、阿波の完全掌握には至りませんでした。

最期

永禄5年（1562年）、久米田の戦いにて36歳で戦死しました。その死は、兄・長慶が連歌会中に訃報を聞いても動じなかったという逸話にも残っています。実休の死後、子の三好長治が家督を継承しました。

名前

実休は出家後の法名であり、生前の諱は之相、後に之虎とされています。之虎は、細川氏之から偏諱を賜ったものであり、改名は天野忠幸の研究によって明らかになりました。書籍によっては、実休の俗名を義賢や之康としている場合もありますが、これらは誤りである可能性が高いとされています。特に三好義賢は同時代の資料には確認できず、十河存保の別名との混同が指摘されています。また、三好之康については、「康」と「虎」の字の崩し字が似ていることから生じた誤りであると考えられています。

人物像

『昔阿波物語』では、「猛将ではあるが文化とは程遠い人物」として描かれていますが、実際には茶道に通じ、堺の商人たちと交流するなど、文化的な側面も持ち合わせていました。武野紹鷗に茶道を学び、妙国寺を創建するなど、その功績は大きいです。特に、津田宗達（津田宗及の父）とは親しく、今井宗久、北向道陳、千利休とも交流がありました。また、法華宗に帰依し、堺の別邸を妙国寺の開山のために寄進しました。これは、主君殺害の罪悪感から出家したとする見方もあります。茶道においては、「名物を五十種類も所持していた」と山上宗二に評され、数寄者としての地位を確立しました。特に「三日月の壺」は天下無双と称賛された名品でしたが、本能寺の変で焼失しました。

家族

『昔阿波物語』などには、殺害した旧主君の妻を強奪したという記述がありますが、信憑性は低いとされています。子には、三好長治、十河存保、安宅神五郎がいます。日珖の日記『己行記』には、実休の七回忌に関する記述があり、それによって、三好長治と十河存保が異母兄弟であることが判明しています。

まとめ

三好実休は、戦国時代の武将としてだけでなく、文化人としても優れた人物でした。その生涯は、武将としての活躍と、茶道に傾倒した文化的な側面が複雑に絡み合っており、多様な魅力を持っています。主君殺害の汚名を着せられた一面もありますが、その実像は、単なる武将にとどまらない、複雑で多面的な人物であったと言えるでしょう。

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