三好元長

三好元長の生涯

三好元長は、戦国時代の阿波国（現在の徳島県）の武将で、細川晴元に仕えました。彼の父については諸説ありますが、三好長秀が有力とされています。また、祖父の三好之長の養子となったという説もあります。元長は、三好氏の総帥として、その名を歴史に刻むことになります。

台頭と政権奪取

1501年に生まれた元長は、三好氏の家督を継ぎ、当初は主君の細川澄元の遺児・六郎（後の晴元）と共に阿波国に身を隠していました。しかし、大永6年（1526年）に細川高国が香西元盛を誅殺したことで、高国政権に綻びが生じると、元長はこれを好機と捉え、同年10月に挙兵します。足利義維を擁して高国軍に挑み、主君・細川六郎を助けて畿内へ進軍しました。

大永7年（1527年）には、桂川原の戦いで高国軍を撃破し、高国を近江国へ追放。これにより、元長は立場を逆転させ、堺公方（堺大樹）の樹立に貢献しました。同年11月には、近江国の六角定頼や越前国の朝倉宗滴らの協力を得て、高国軍を撃退し、細川六郎による新たな畿内支配体制を確立しました。

退去と再び畿内へ

大永8年（1528年）7月、元長は山城守護代に任じられましたが、翌享禄2年（1529年）には同僚との不和から阿波国に引きこもります。その間、細川高国軍が再挙兵し、播磨国で勢力を拡大していました。

享禄3年（1530年）6月、柳本賢治が急死すると、堺公方派は戦況が悪化し、高国軍に降伏する者も現れました。享禄4年（1531年）2月、細川六郎の懇願によって元長は復帰しますが、戦況は依然として厳しく、高国軍の京都奪還を許してしまいます。同年6月には、高国軍と激突し、戦線は膠着状態に陥りました。しかし、赤松政祐の裏切りにより高国軍を壊滅させることに成功しました（大物崩れ）。

主君との対立

高国を討滅したものの、堺公方派では今後の方針を巡って対立が深まります。元長は、足利義維を新将軍に据えようとしましたが、細川六郎は足利義晴との和睦を推し進めようとしたため、元長はこれに反対しました。この対立は、元長の立場を危うくし、木沢長政や三好政長らとの関係も悪化させていきました。

享禄5年（1532年）1月、元長は柳本甚次郎を討滅し、細川六郎の怒りを恐れて出家。阿波守護・細川持隆の仲介もむなしく、主従関係はさらに悪化しました。その後、元長は木沢長政を警戒する畠山義堯と結託し、長政の居城を攻撃しましたが、細川六郎の撤兵要請を受け、一時兵を退きました。しかし、畠山義堯は再び長政を攻撃し、元長もこれに加担しました。

最期

木沢長政討滅が終盤に差し掛かった6月15日、一向一揆軍の襲撃を受け、攻囲軍は退散。元長は堺の顕本寺まで逃走しました。畠山義堯は自害し、細川六郎や木沢長政は、一向宗と法華宗の対立を利用して一揆軍を味方に引き入れました。一揆軍の目的は、法華宗の庇護者である元長の討滅でした。

6月20日、顕本寺を囲まれた元長は、足利義維を逃がすのが精一杯で、主君に見限られた末、自害しました。享年32。その最期は、腹を切り、臓物を天井に投げつけるという壮絶なものでした。

しかし、元長の遺志は、子である三好長慶、実休、安宅冬康、十河一存らによって受け継がれ、三好氏は大きく飛躍しました。長慶によって、堺には元長の菩提を弔う南宗寺が建立されました。

参考文献

長江正一『三好長慶』（新装版）吉川弘文館、1989年
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』洋泉社、2007年
福島克彦『畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館、2009年

三好元長を主題とした作品

小説『覇道の槍』（天野純希）

関連項目

細川政権 (戦国時代)
三好政権
神尾山城
享禄・天文の乱
畿内・近国の戦国時代

外部リンク

法華宗 顕本寺 堺市　公式ＨＰ

もう一度検索