三宅義行

三宅 義行

三宅 義行（みやけ よしゆき）氏は、1945年（昭和20年）9月30日に宮城県柴田郡村田町で生まれた日本の元重量挙げ選手であり、陸上自衛官です。重量挙げ一家として知られ、兄には1964年東京オリンピックと1968年メキシコシティオリンピックで金メダルに輝いた三宅義信氏、娘には2012年ロンドンオリンピックで銀メダル、2016年リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得した三宅宏実氏がいます。また、次男の三宅敏博氏も全日本女子ヘッドコーチを務めるなど、家族の多くが重量挙げ、ウエイトリフティングに関わる稀有な例です。

競技とキャリア

法政大学を卒業後、陸上自衛官となります。1968年（昭和43年）には幹部自衛官として自衛隊体育学校に所属しながら、メキシコシティオリンピックに重量挙げフェザー級で出場し、銅メダルを獲得しました。この大会では、兄の義信氏も同じ階級で金メダルを手にしており、兄弟が同一大会の同一種目で揃って表彰台に上がるという、日本のオリンピック史上唯一の快挙を成し遂げ、大きな注目を集めました。オリンピックでの成功後も競技を続け、1969年（昭和44年）と1971年（昭和46年）には世界選手権で優勝するなど、国際舞台で目覚ましい成績を収めました。競技者としてのピークを過ぎた後も自衛官としてのキャリアを歩み、2001年（平成13年）に東部方面総監部での勤務を最後に1等陸佐で退官しました。

指導者としての貢献

現役引退後は、後進の育成に情熱を注ぎ、数多くの重量挙げ選手を育て上げました。特に、娘である三宅宏実選手のコーチとして、その成長を支えました。2012年のロンドンオリンピックでは、宏実選手が銀メダルを獲得し、親子二代にわたるオリンピックメダリストという偉業を達成しました。この際、義行氏自身がメキシコシティ五輪で獲得した銅メダルの所在が一時不明となり話題になりましたが、後に故郷である宮城県村田町の歴史みらい館に保管されていることが確認されました。

協会活動とその後

指導者としてだけでなく、競技の普及・発展にも尽力しました。2016年9月には公益社団法人日本ウエイトリフティング協会の会長に選出されました。翌2017年5月には国際ウエイトリフティング連盟副会長選挙に立候補しましたが当選には至らず、同年6月に会長推薦枠で理事を務めることとなりました。2018年10月には、一部で女子日本代表選手に対するパワーハラスメントの疑いが報じられました。協会は調査の結果、パワハラと認定するには至らなかったものの、監督としての配慮に欠ける面があったと指摘しました。義行氏は2019年3月末をもって女子日本代表監督を退任しましたが、協会はこの退任とパワハラ騒動との関連性を否定しています。その後、2019年6月には日本ウエイトリフティング協会の会長に再び選ばれ、日本ウエイトリフティング界の重鎮として活動を続けました。長年の功績が認められ、2022年には旭日小綬章を受章しています。

三宅義行氏は、選手としてオリンピックメダルを獲得し、自衛官としてのキャリアを全うした後、指導者として次世代を育成し、さらに協会のトップとして競技全体の発展に寄与するなど、多岐にわたる立場で日本重量挙げ界に大きな足跡を残しています。その功績は、日本スポーツ史において特筆されるべきものです。

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