三岐鉄道501系電車

三岐鉄道501系電車

三岐鉄道501系電車は、かつて三岐鉄道三岐線で活躍した通勤形電車です。1977年と1980年の二度にわたり、西武鉄道501系電車が譲渡され、三岐鉄道に導入されました。

概要

導入の目的は、老朽化した従来車両の代替と、車両の大型化による輸送力増強でした。1977年12月に505編成、1980年8月には525編成がそれぞれ導入され、西武鉄道在籍当時の車両番号がそのまま使用されました。譲渡にあたっては、西武時代の4両編成から中間付随車（サハ）が1両減車され、クモハ501形-サハ1501形-クモハ501形という3両編成になりました。

西武501系には、半鋼製車体の初期車と全金属製車体の後期車が存在しますが、三岐鉄道に譲渡された車両のうち、505編成の中間付随車サハ1505（初代）のみが半鋼製車体の初期車であり、他の5両は全て全金属製車体の後期車でした。

本系列は、その輸送力を活かして主にラッシュ時に主力車両として運用され、1995年8月まで活躍しました。

導入に際しての改造

導入にあたり、編成短縮のほか、クモハの台車が国鉄制式の釣り合い梁台車TR14Aに、主電動機も国鉄制式のMT7またはMT15に換装されました。また、三岐線では不要となる先頭部電気連結器の撤去や、3両編成化に伴いサハに搭載する補機の増強が行われました。その他は、西武在籍当時とほぼ変更はありませんでした。

車体関連では、標識灯が露出型の引っ掛け式（いわゆるガイコツテール）から埋込式に変更され、クモハの連結面には運転室のスイッチ操作で動作する発車ベルが新設されました。前照灯は、先に導入された505編成では原形の白熱灯1灯式のままでしたが、525編成ではシールドビーム2灯化が施工され、その後505編成も同様に改造されました。

車体塗装は、イエロー地に車体裾周りをオレンジとした三岐鉄道の標準塗装ですが、この塗装が最初に採用されたのは本系列でした。

導入後の変遷

505編成は、導入後わずか2年足らずの1979年に、サハ1505（初代）に木部を中心とした深刻な老朽化が判明しました。同年12月には、西武鉄道からサハ1501形1523が譲り受けられ、翌1980年2月にサハ1505（2代）と改番され、初代と置き換えられました。代替されたサハ1505（初代）は同年3月に廃車解体され、本系列は全金属車体の西武501系後期車で統一されました。

525編成は、1984年に京王帝都電鉄デハ1900形電車の廃車発生品である日立製作所製の上天秤式ウィングバネ台車KBD-107に全車換装され、乗り心地の改善が図られました。

1988年1月7日から三岐線でワンマン運転が開始されましたが、本系列はワンマン対応改造の対象から外れ、朝ラッシュ時のツーマン運転列車に限定して運用されるようになり、稼働率は大幅に低下しました。1990年2月には、505編成のクモハ505・506が廃車となりましたが、サハ1505（2代）のみが廃車を免れ、サハ1525（2代）と改番されて525編成に組み込まれました。状態の悪かったサハ1525（初代）が廃車となり、この玉突き転用でサハ1525（2代）は初代が装備していたKBD-107台車を流用し、クモハ525・526と仕様が統一されました。

残存した525編成は、後にワンマン化改造が施工されましたが、車体や走行機器の老朽化が進んだため、851系（元西武701系電車）に代替され、1995年8月24日付で廃車となり、本系列は形式消滅しました。

車歴・編成

（詳細な車歴・編成については、参考文献を参照してください）

脚注

（注釈、出典、参考文献は、元の情報源をご確認ください）

関連項目

他社の西武501系譲渡車
伊豆箱根鉄道1000系電車
総武流山電鉄1200形電車
大井川鉄道ナロ80形・スイテ82形客車

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