伊豆箱根鉄道1000系電車

伊豆箱根鉄道1000系電車

伊豆箱根鉄道が1963年から2005年まで運行していた1000系電車は、同社初のオリジナル車両として登場しました。これらの電車は、観光客の増加と通勤ラッシュの対応を目的に設計され、駿豆線で使用されました。自社製の車両は3両編成4本であり、親会社である西武鉄道からの譲受車が3両編成3本存在しました。電動車は1000形、制御付随車と中間付随車は2000形と呼ばれました。

自社オリジナル車両の概要

1963年から1971年にかけて、伊豆箱根鉄道は自社オリジナル車両として1000系を導入しました。これは、当時の17m級の国鉄車両や西武から譲渡された車両を置き換えるためのもので、ラッシュ時の輸送力向上と観光サービスの充実を図る目的がありました。新型車両は20m級の軽量車体、両開き扉、電磁直通ブレーキ、MMユニット制御方式、交流補助電源など、近代的な設備が施されました。

登場当初は全編成が吊り掛け駆動方式でしたが、1989年に1005Fと1007Fの台車と主電動機が改良され、カルダン駆動方式に変更されました。しかし、冷房装置が搭載されていなかったため、1991年から廃車が進行し、1997年には定期運用が終了しました。以降、1005Fは「ブライダルトレイン」として貸切運用に使われていましたが、2005年に廃車されました。大場工場内にはモハ1008が倉庫として残されています。

外観と内装

1000系電車の外観は、同時期にした西武551系や601系と似たデザインで、側面に客用扉を3箇所設けた全金属製の20m級車体です。前面は細いピラーを通す湘南形2枚窓が特徴で、前照灯は70年代以降のシールドビーム式に変更されました。車両の塗装は赤とベージュのツートンカラーで、地域住民に「赤電」として親しまれていました。

内装は蛍光灯照明とアルミデコラ板が用いられ、多くはセミクロスシートが配置されていました。ただし、1005Fの車両はオールロングシートでした。

車両機器

1000系の駆動方式は当初は吊り掛け方式でしたが、性能向上を図るためにいくつかの編成は後にカルダン方式に改造され、主電動機には国鉄から払い下げられた高出力型が搭載されました。補助電源は交流化され、車両内照明に蛍光灯が使われるようになりました。

制動装置も進化し、電磁直通空気制動が採用される一方で、発電制動は装備されませんでした。集電装置や台車も進化を遂げ、コストを抑えながらも高い性能を持つ車両へと進化しました。

譲受車両

西武鉄道から譲渡を受けた1009F、1012F、1013Fの3編成は、元501系電車であり、これらも改良が施されて運用されました。留意すべきは、譲受に際して外装が変更され、さらに主電動機がMT30からMT15に交換された点です。

まとめ

伊豆箱根鉄道1000系電車は、地域の観光客や通勤者のニーズを満たすために設計された画期的な車両でした。運用終了後も地域に愛され続けた「赤電」の存在は、地域鉄道の発展を物語っています。

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