三崎良章

三崎良章先生は、1954年埼玉県深谷市出身の歴史学者であり、東アジア史を専門とされています。特に中国史における五胡十六国時代と、そこに生きた民族に関する研究で知られています。

早稲田大学第一文学部東洋史学専攻を1977年に卒業後、同大学大学院博士後期課程に進まれましたが、1983年に単位取得退学されました。その後、マールブルク大学や北京大学で客員研究員を務められ、早稲田大学、群馬大学、群馬県立女子大学などで教鞭を執られました。現在は早稲田大学本庄高等学院で教員としてご活躍されています。

研究活動においては、1994年に町田隆吉氏（桜美林大学教授）らと共に「五胡の会」を立ち上げられました。この研究会は、五胡十六国時代の散逸した編纂資料である佚文の蒐集・整理、会員間の研究交流を目的としており、20年以上にわたり活動を継続されています。その成果として、2012年には佚文を体系的に整理した『五胡十六国覇史輯佚』（燎原書店）を刊行されました。

1996年秋には、五胡十六国時代をテーマにした書籍の執筆依頼を受け、5年以上の歳月をかけて2002年に『五胡十六国 -中国史上の民族大移動-』（東方書店）を出版されました。この書籍は、五胡十六国時代を概観する上で非常に重要な文献となっています。また、2005年には論文「五胡十六国の研究」で博士（文学）の学位を授与されています。

主な著作として、上記書籍の他に『五胡十六国の基礎的研究』（汲古書院、2006年）があります。また、共著として『五胡十六国霸史輯佚（稿）』（新潟大学大域プロジェクト研究資料叢刊）にも編集分担者として名を連ねています。この資料は研究者向けの意見募集のために作成されたため、一般向けの配布は行われていません。

論文においては、「五胡諸国の異民族統御官と東晋 -南蛮校尉・平呉校尉の設置を中心として-」（『東方学』82）、「異民族統御官にあらわれた五胡諸国の民族観」（『東洋史研究』54-1）、「東夷校尉考」（『東アジア史の展開と日本 -西嶋定生博士追悼論文集-』）、「五胡十六国の研究」（博士論文）、「十六国夏の年号について」（『史観』152）など、多数の業績があります。

三崎先生は、五胡十六国時代という複雑な時代を、民族という視点から深く掘り下げ、その実態を明らかにする研究を精力的に進めておられます。その研究成果は、関連分野の研究者だけでなく、一般の歴史愛好家にとっても貴重な情報源となっています。

関連情報
三崎良章 (早稲田大学)
五胡の会公式サイト

参考文献
『五胡十六国 -中国史上の民族大移動-』東方書店、2002年、新訂版 2012年
『五胡十六国の基礎的研究』汲古書院、2006年

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