三崎荘

三崎荘の歴史と領有者の変遷

三崎荘（みさきのしょう）は、中世における下総国海上郡の荘園で、別名海上荘とも呼ばれます。この荘は治承4年（1180年）5月11日に、皇嘉門院惣処分状において九条家の領地として記録されています。権力者であった皇嘉門院が、猶子である九条兼実の長男良通にこの土地を譲渡したことから、この荘の歴史が始まります。

文治2年（1186年）には、関東知行国乃貢未済荘々注文において「殿下御領」として近衛家に記されていますが、その後も当荘は九条家により領有され続けました。また、建長2年（1250年）の九条道家の処分状や、建長8年（1256年）の九条家の重書目録においてもその存在が確認されます。

さらに、元久元年（1204年）には、宜穐門院宛に九条兼実が発信した文書から、藤原忠通の時代に最勝金剛院に寄付された院領のひとつであったことが分かります。このように、三崎荘は長い歴史の中で多くの重要な文書に記録されています。正治元年（1199年）には、藤原定家がこの荘の下級職に就くことになり、翌年にはその職を辞退しています。この記録は明月記に残されています。

荘の在地領主としては、平安時代末期には片岡氏が存在しましたが、『吾妻鏡』の文治元年（1185年）には、片岡常春が佐竹義政と共に源頼朝に対して謀反を企て、これにより当荘は収公されました。その後、千葉常胤に与えられ、以降千葉氏一族が領有を続けました。建保6年（1218年）には、東胤頼の孫胤行が当荘に留まったまま鎌倉に帰らず、源実朝が和歌を通じて彼を呼び寄せたという逸話も残っています。

その後、荘の領有は胤行の弟である胤方の系統へと移り、彼らは海上氏と名乗ります。また、当荘内には円福寺があったことでも知られ、その別当職には胤方の弟である盛胤系の本庄氏や海上氏一族が就任していたことが、建武元年（1334年）の譲状に記されています。

荘の範囲は、当時の海上郡の三前郷を中心に、横根郷、須加郷、本庄郷、船木郷といった地域を含み、今日の銚子市や旭市一帯に相当すると考えられています。さらに、長禅寺に所蔵されている愛染明王像の墨書によれば、永禄12年（1569年）に三崎荘横根郷に関連のある記述が見られるほか、常燈寺の大般若教巻408にも天正4年（1576年）に関連する記述があります。これらの文書からも三崎荘の重要性が伺えます。

このように三崎荘は、歴史的な背景や多くの氏族による領有の変遷を経て、当地域の発展に寄与してきた荘園であったことが理解されます。

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