東胤頼

東胤頼：鎌倉幕府草創期の武将

東胤頼（とう たねより）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した、千葉氏一族の武将です。千葉常胤の六男として生まれ、東氏、遠藤氏の祖でもあります。従五位下別当大夫の位につき、「東六郎大夫」と呼ばれていました。

頼朝への加勢と下総目代の討伐

以仁王の挙兵の際には京で勤務する大番役を務めていました。『吾妻鏡』によると、その後関東へ戻り、三浦義澄と共に源頼朝に仕え、頼朝の挙兵に大きく貢献しました。


胤頼は、父・常胤に安房国へ逃れた頼朝への加勢と、下総目代の誅殺を強く主張しました。常胤の許可を得て頼朝の軍に加わった胤頼は、兄の子、成胤と共に下総目代を襲撃、滅ぼしました。


この戦闘では、千田荘領家で皇嘉門院判官代の藤原親政が千余騎を率いて千葉荘に侵入、成胤と激突しました。劣勢に立たされた成胤でしたが、わずか七騎で迎え撃ち、遂に親政を生虜にするという大功を挙げます。


この出来事は、様子見をしていた上総広常などの坂東武士団の頼朝への合流を促し、頼朝の勢力は飛躍的に増大しました。

頼朝家臣としての活躍と晩年

頼朝が治承・寿永の乱を制し、下総国を掌握すると、常胤から東荘を相続した胤頼は、以降、その子孫が東氏を名乗るようになりました。


『吾妻鏡』には、一ノ谷の戦い、奥州合戦など、数々の合戦への参加が記録されています。建久元年（1190年）の頼朝の上洛にも随行したと伝えられています。


文治2年（1186年）正月、頼朝が鶴岡八幡宮に参拝した際、胤頼は父・常胤のほぼ真正面に位置に座りました。これは、父子間の秩序を逸脱するものとして問題視されましたが、頼朝は胤頼の官位の高さを理由に、この行為を容認しました。


胤頼の官位の高さが、和歌などの文芸への造詣の深さを示唆しており、後の東氏の歌道における地位の確立にも繋がったと考えられています。


晩年、胤頼は出家し、法然上人の弟子となり「法阿弥陀仏（法阿）」と号しました。嘉禄3年（1227年）の嘉禄の法難では、法然の遺骸を守るため、他の僧侶や武士と共に遺骸の移送の護衛に当たりました。

まとめ

東胤頼は、頼朝挙兵への貢献、数々の合戦への参加、そして歌道への造詣など、多様な側面を持つ人物でした。父・常胤との関係、頼朝との関係、そして晩年の出家と、激動の時代を生きた胤頼の生涯は、鎌倉幕府成立期の重要な一端を担っています。彼の功績は、鎌倉幕府の成立と発展に大きく貢献し、後の東氏の繁栄の礎となりました。 彼の生涯は、時代を駆け抜けた武将の姿として、後世に語り継がれています。

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