三式砲戦車

三式砲戦車 ホニIIIの概要

三式砲戦車ホニIIIは、第二次世界大戦中の大日本帝国陸軍によって設計された砲戦車ですね。1943年から1944年にかけて開発が進められ、日本初の対戦車自走砲として期待されました。この砲戦車は、主に本土決戦に備えたものであり、敵車両に対抗するための武器として位置づけられていました。

開発の経緯

ホニIIIの開発は1943年から始まり、試製一式七糎半自走砲（ホニI車）の改良案から派生したものです。この車両は、1940年頃には自走式対戦車火砲の設計案として存在しており、その後1944年に本格的に開発が決定されました。ホニIIIは「七糎半砲戦車（甲）」としても知られ、当時の他の戦車と協力して運用されることが想定されていました。

仕様と特徴

車体の基本構造は九七式中戦車チハから流用されており、主に耐久性を重視して設計されました。ホニIIIの戦闘室は密閉式で、他の戦車とは一線を画する形状を持っており、見た目には砲塔にも似ている七角形をしています。しかし、旋回はできないため、砲撃の方向は固定されています。

主砲には三式七糎半戦車砲（75mm砲）を搭載しており、射界が左右15度ずつ増加し、照準用の器具も追加されるなど、実戦での運用を意識した設計となっています。装甲は、車体正面には追加装甲が施され、50㎜へと強化。また、揺架防盾や副防盾もそれぞれ12㎜、25㎜に強化されています。

製造と配備

1944年から量産が開始され、約60から100輌が生産されました。これらの車両は三式中戦車と共に砲戦車中隊に配備されることとなります。ただし、ホニIIIは本土決戦のための予備兵力として温存されていたため、実戦には出動しませんでした。輸送には二等輸送艦なども使用可能でしたが、基本的には戦局の進展に応じて用いられることを想定されていました。

装甲貫徹能力

三式七糎半戦車砲の装甲貫徹能力は、試験条件によって異なるものの、一式徹甲弾の使用時では、射距離1,000mで約70mm、500mで約80mm程度です。また、タングステン・クロム鋼弾を用いることで、貫徹能力は高まり、100mmに達することもあります。これは、その構造がアメリカ陸軍の徹甲弾とは異なり、希少金属の使用を控えたためです。

登場作品

ホニIIIは、ビデオゲームにも登場しています。『War Thunder』では「日本陸軍砲戦車Ho-Ni III」の名称で登場し、『Enlisted』では「日本陸軍砲戦車三式砲戦車ホニIII」としてプレイヤーが使用可能です。

参考文献と関連資料

この戦車に関しては数多くの文献も存在し、詳しい技術的な解説や歴史的背景を知ることができる資料も豊富です。特に、佐山二郎の「日本陸軍の火砲」などは信頼のおける情報源です。ホニIIIはその開発背景や使用意図において、戦争中の日本陸軍が直面していた課題を象徴する存在となっています。

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