三戸県

三戸県について

三戸県（さんのへけん）は、1869年（明治2年）に、明治政府によって設置された県です。その管轄地域は、現在の岩手県北西部、青森県東部、秋田県北東部に相当します。この地域は、戊辰戦争で新政府軍に抵抗した盛岡藩の領地の一部でした。盛岡藩は、戦後、領地を大幅に削減され、その結果、この地域は政府の直轄地となりました。三戸県は、その後の行政区画の再編の中で、短期間しか存在しませんでしたが、その歴史的背景は複雑です。

前身の県

三戸県の前身としては、以下の県が挙げられます。

北奥県（ほくおうけん）：盛岡藩から分離された地域を管轄するために、最初に設置された県です。当初は弘前藩が取り締まっていましたが、住民の反対により黒羽藩の取締地となり、北奥県が設置されました。

九戸県（くのへけん）：北奥県の後、同じ区域に設置された県です。県庁の所在地は明確にはわかっていません。

第1次八戸県（はちのへけん）：九戸県が、県庁を八戸町に移転する予定で改称されたものです。この八戸県は、後の八戸藩を起源とする第2次八戸県とは異なります。

三戸県の設置と廃止

1869年（明治2年）9月19日、県庁が三戸に移転され、三戸県となりました。しかし、同年11月28日には、一部地域に会津藩が移封されて斗南藩が立藩し、残りの地域が江刺県に編入されたため、三戸県は廃止されました。

管轄地域

三戸県の管轄地域は、以下の通りです。ただし、廃止後に江刺県や斗南藩に編入されたため、詳細な境界は不明な部分が多いです。

陸奥国
二戸郡
北郡の一部
三戸郡の一部
陸中国
鹿角郡

歴代知事

短期間で県名や管轄が変わったため、歴代の知事も以下の通り、変動が激しいものとなっています。

九戸県
権知事：林友幸（1869年9月12日 - 1869年10月17日）
八戸県（第1次）
権知事：村上光雄（1869年10月17日 - 1869年10月23日）
三戸県
知事：村上光雄（1869年10月23日 - 1869年12月30日）

まとめ

三戸県は、戊辰戦争後の混乱期に、短期間だけ存在した県であり、その歴史は複雑に入り組んでいます。この地域は、その後、斗南藩と江刺県に分割編入され、現代の岩手県、青森県、秋田県の基礎となりました。

参考文献

岩手県立博物館だより №101 2004.4 研究ノート 岩手県の誕生
盛田稔・長谷川成一 責任編集『図説 青森県の歴史』河出書房新社、1991年7月10日

関連項目

盛岡藩
江刺県、胆沢県
青森県
岩手県
秋田県

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