八戸町

八戸町（はちのへまち）

八戸町は、明治22年（1889年）から昭和4年（1929年）まで、青森県三戸郡に存在した町です。現在の八戸市中心街周辺にあたる地域に位置していました。この地域は、旧八戸城下と柏崎村の区域を含み、後に長者村と合併することで、市制移行へとつながる重要な役割を果たしました。

歴史

成立時の区域

八戸町は、明治22年（1889年）の町村制施行により、旧八戸城下と柏崎村の区域を基盤として誕生しました。一方、長者村は、田向村、類家村、糠塚村、中居林村、石手洗村の区域から構成されていました。1901年（明治34年）には、八戸町と長者村が合併しましたが、この合併は「隣接する地域であること」や「人情風俗が似ていること」が主な理由とされています。

町村制施行前の大区小区制では、旧八戸城下が青森県第9大区2小区、柏崎村と長者村の区域が第9大区4小区に分類されていました。

沿革

1889年（明治22年）4月1日 - 町村制施行により三戸郡八戸町として発足。
1901年（明治34年）7月1日 - 三戸郡長者村を合併。
1924年（大正13年）5月21日 - 八戸大火が発生し、町の大半が焼失する甚大な被害を受ける。
1929年（昭和4年）5月1日 - 三戸郡八戸町、小中野町、湊町、鮫村が合併し、八戸市が誕生。八戸町は市制へと移行し、その歴史に幕を閉じました。

八戸市制への移行

大正10年（1921年）頃から、八戸市としての合併の動きが活発化しました。この背景には、当時の鮫地区の修築が進められ、漁港から商業港への転換が求められたことが挙げられます。特に鮫村と小中野町は合併に積極的でしたが、八戸町では意見が分かれていました。しかし、神田重雄の尽力により反対派を説得し、市制施行へと進むことができました。

行政

行政施設

八戸町役場は、現在の青森銀行八戸支店付近に位置していました。

その他の主な行政関連施設は以下の通りです。

三戸郡役所 - 八戸町鳥屋部町。
八戸税務署 - 八戸町番町。

歴代町長

歴代町長については、詳細な情報が不足しているため、ここでは割愛します。

経済

産業

八戸町は、その区域が現在の中心街地域に限られていたため、当初は酒造、醤油業、小売業が主な産業でした。明治10年代には、せんべい屋が140戸と最も多く、次いで荒物店91戸、大工84戸、呉服店67戸と続いていました。

その後、商業の発展に伴い、様々な会社が設立されました。

主な産業として以下の企業がありました。

泉山醤油合名会社 - 明治34年創業
八戸肥料会社 - 明治33年創業
八戸印刷 - 明治33年創業。八戸町長横町。
八戸水力電気 - 明治42年創業。八戸町八日町。

金融

八戸町には、多くの金融機関が存在しました。

主な金融機関は以下の通りです。

第百五十国立銀行 - 明治12年創立。本店は八戸町八日町。
階上銀行 - 明治15年3月創立。本店は八戸町三日町。
泉山銀行 - 明治30年11月創立。本店は八戸町十三日町。
八戸商業銀行 - 明治30年8月創立。本店は八戸町三日町。

郵便

八戸町内には、八戸町三日町と常泉下にそれぞれ郵便局が存在していました。

交通機関

八戸町内および近郊の主な交通機関は以下の通りです。

八戸-鮫間乗合自動車 - 八戸自動車による運行
八戸水力電気会社軌道 - 八戸水力電気による八戸町-小中野町間の路面電車（計画のみで実現せず）

娯楽施設

八戸町には、人々の娯楽の場として以下の施設がありました。

新開座 - 八戸町鍛冶町にあった映画館
錦座 - 廿八日町にあった劇場
於多福座 - 大澤多門が創立。現在の長者山新羅神社付近にあった。

参考文献

『明治・大正の八戸市街図と三戸郡誌』八戸市、2002
『はちのへ市史研究第２号』八戸市、2004
『新編八戸市史　近現代資料編１』八戸市、2007

脚注

(ここに脚注情報を記載)

関連項目

青森県の廃止市[[町村]]一覧
八戸大火
* 神田重雄

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