三日月 (初代神風型駆逐艦)

大日本帝国海軍駆逐艦 三日月（初代）

「三日月（みかづき）」は、大日本帝国海軍が運用した駆逐艦の一つで、初代神風型駆逐艦の17番艦として建造されました。この名前を持つ艦船は本艦が初めてではなく、後に建造された睦月型駆逐艦にも同名の「三日月」が存在したため、区別のために「三日月（初代）」や「三日月I」と表記されることがあります。

艦の誕生

この駆逐艦は、1905年（明治38年）2月15日に「三日月」と命名されました。製造番号は第17号です。同年6月1日には、佐世保海軍工廠において建造が開始（起工）され、翌1906年（明治39年）5月26日に水上にその姿を現しました（進水）。進水から間もない同年5月29日には正式に駆逐艦として類別され、同年9月12日に全ての工程を終え、帝国海軍に引き渡されました（竣工）。

活動の記録

竣工後、「三日月（初代）」は沿岸防備や警備、訓練など、様々な任務に就きました。艦歴の中で特に重要な時期として、第一次世界大戦への参加が挙げられます。1914年に始まったこの世界規模の紛争において、本艦は青島の戦いに関わりました。また、第一次世界大戦終結後の1918年から始まったシベリア出兵時には、沿海州の沿岸地域において警備活動に従事し、日本の権益保護や陸軍部隊の支援に貢献しました。

艦の終焉

時代が下り、「三日月（初代）」は艦齢を重ねていきました。近代化が進む海軍において、その役目を終える時が訪れます。1928年（昭和3年）4月1日をもって、本艦は帝国海軍の艦籍から正式に除かれました（除籍）。除籍後、同年7月6日には「廃駆逐艦第2号」という仮称が与えられ、最終的な処分を待つことになります。そして、1930年（昭和5年）7月21日に海没処分とされ、その波乱に満ちた艦生を終えました。

歴代駆逐艦長

「三日月（初代）」の歴代駆逐艦長は以下の通りです。

（兼）平井徳蔵 少佐：1906年8月10日 - 8月30日
宮村暦造 大尉：1906年8月30日 - 9月28日
田島條二 大尉：1906年9月28日 -
中桐啓太 大尉：1907年6月13日 - 9月28日
磯田敏祐 大尉：1907年9月28日 - 1909年4月29日
園田義治 大尉：1909年4月29日 - 12月1日
（兼）田辺金次郎 大尉：1909年12月1日 - 1910年12月1日
副島村八 大尉：1910年12月1日 - 1911年5月23日
柳原継雄 少佐：1911年5月23日 - 9月13日
武久完 大尉：1911年9月13日 - 1912年5月22日
山中義勇 大尉：1912年5月22日 - 12月1日
（兼）大谷箭太郎 大尉：1912年12月1日 - 12月20日
北村栄虎 少佐：1912年12月20日 - 1914年5月27日
長谷川清 少佐：1914年5月27日 - 8月24日
柘植道二 少佐：不詳 - 1916年6月1日
岡内弥三郎 大尉：1916年6月1日 - 12月1日
森田重房 大尉：1916年12月1日 - 1917年7月2日
佐藤六平 少佐：1917年7月2日 - 12月1日
原精太郎 大尉：1917年12月1日 - 1919年8月20日
大熊政吉 大尉：1919年8月20日 - 1919年12月1日
（兼）鈴木幸三 大尉：1919年12月1日 - 1920年3月15日
藤堂功 大尉：1920年3月15日 - 1920年12月1日
中田操 大尉：1920年12月1日 - 1921年11月1日
（兼）柳原信男 大尉：1921年11月1日 - 11月20日
（兼）杉山六蔵 大尉：1921年11月20日 - 1921年12月1日
太田泰治 少佐：1921年12月1日 - 1922年1月10日
鈴木田幸造 大尉：1922年1月10日 - 1922年12月1日
河原金之輔 大尉：1922年12月1日 - 1923年11月10日
新井清 大尉：1923年11月10日 - 1924年12月1日
伊藤皎 大尉：1924年12月1日 - 1925年5月1日
* 山口次平 大尉：1925年5月1日 - 1926年12月1日

本艦は、神風型駆逐艦の一隻として明治末期から昭和初期にかけて帝国海軍の一翼を担い、時代の変遷を見守りながらその生涯を終えました。同名艦が存在するため、艦の歴史を辿る際にはその初代艦であることを意識する必要があります。

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