太田泰治

太田 泰治（おおた たいじ）

日本の海軍軍人。明治20年（1887年）1月25日に生まれ、昭和35年（1960年）2月12日に逝去。最終階級は海軍中将。

経歴

太田泰治は岡山県の出身で、太田吉三郎氏の二男として生まれました。地元の岡山津山中学校を卒業後、海軍の道に進み、明治42年（1909年）11月に海軍兵学校（第37期）を卒業しました。翌明治43年（1910年）12月に海軍少尉に任官し、そのキャリアをスタートさせました。

海軍に入ってからの初期は、砲術のエキスパートを目指し、大正5年（1916年）12月には海軍砲術学校高等科を卒業しました。その後は、戦艦「薩摩」、装甲巡洋艦「浅間」、戦艦「扶桑」でそれぞれ分隊長を務めました。さらに駆逐艦「澤風」では砲術長として勤務しました。また、軍務面でも経験を積み、東郷平八郎元帥の副官や、駆逐艦「三日月」「初雪」の艦長を務めました。これらの艦艇勤務と並行して、横須賀鎮守府の参謀や海軍省の軍務局員など、陸上での勤務も経験しました。大正15年（1926年）6月から翌昭和2年（1927年）1月にかけては、欧米への出張を命じられ、海外の情勢についても見聞を広めました。

帰国後は、海軍省人事局員（第1課）を務め、人事行政に関わりました。その後は、重巡洋艦「加古」や巡洋戦艦「榛名」の副長、運送艦「洲埼」、軽巡洋艦「大井」、装甲巡洋艦「浅間」でそれぞれ艦長を歴任しました。海軍省では軍務局第2課長も務めるなど、要職を重ねました。これらの実績が評価され、昭和11年（1936年）12月には海軍少将に昇進しました。

少将昇進後も、その経験と能力を生かし、様々な重要なポストを務めました。横須賀人事部長として、海軍の人事管理を担いました。その後、軍令部に出仕し、南方戦線の要衝である海南島に展開する第四根拠地隊の司令官に着任しました。再び軍令部出仕を経て、日中戦争中の中国大陸における日本の施策を担う興亜院の廈門連絡部長官を務めました。これらの功績により、昭和15年（1940年）11月には海軍中将に進級しました。

太平洋戦争開戦前後の時期には、昭和16年（1941年）5月に興亜院華中連絡部長官に就任しました。その後軍令部出仕を経て、昭和17年（1942年）12月には第三南遣艦隊司令長官という、南西方面における重要なポストに着任しました。司令長官として、フィリピン方面での作戦指揮にあたり、激化する戦局の中で責任を果たしました。昭和19年（1944年）1月に軍令部出仕となった後、同日付で予備役に編入され、現役の軍人としてのキャリアを終えました。

栄典

大正5年（1916年）1月21日 - 正七位

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
福川秀樹『日本海軍将官辞典』芙蓉書房出版、2000年。

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