三明ヴァッチャ経

『三明ヴァッチャ経』の概要

『三明ヴァッチャ経』は、パーリ仏典の中部に位置する第71経で、仏教の重要な教えを含んでいます。この経典は、主に釈迦が外道の修行者ヴァッチャに向けて教えを説く場面を描写します。また、この経典は『婆蹉衢多三明経』とも呼ばれ、仏教における真理や悟りの道について深い洞察を提供します。

登場人物

1. 釈迦（しゃか） - 仏教の開祖であり、真理を知る者。
2. ヴァッチャ（ヴァッチャゴッタ） - 外道の修行者であり、釈迦に質問を投げかけます。

場面設定

物語の舞台は、釈迦とその弟子たちがヴェーサーリー近郊のマハーヴァナにある講堂「クーターガーラ」で滞在しているときです。この場で、外道の修行者ヴァッチャが訪れ、釈迦に対して彼の知識や悟りの状態について質問します。

ヴァッチャの質問と釈迦の答え

ヴァッチャは、釈迦がすべてを知っているのかという疑問を持ちます。これに対し、釈迦は「正確には、三明を備えた者が仏陀である」と答えます。この「三明」とは、仏教において重要な概念であり、過去の出来事、現在の状況、未来の法則を理解する能力を指します。

続いて、釈迦は在家（在家者）が天界に至ることができる一方で、涅槃には達することができないことを説明します。また、外道の修行者たちも涅槃に到達することはできませんが、例外的に一人だけ天界に達した者がいることを付け加えます。この教えに触れたヴァッチャは、釈迦の説明に深い感銘を受け、歓喜のあまり感謝の意を表わします。

まとめ

『三明ヴァッチャ経』は、釈迦の教えの深さと、他者との対話を通じて広がる理解の重要性を伝えています。また、この経典は在家者や外道の修行者が抱える疑問とその解答を通じて、より深い仏教の真理を探求する手助けをしてくれます。

関連文献

この経典に興味を持たれた方は、以下の文献を参考にすると良いでしょう。

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典2』（第10巻） 大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇I』 片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典2』（第5巻） 中村元監修 春秋社

薫り高いこの経典は、釈迦の教えを通じて、仏教や精神的な探求への理解を深めるための貴重な資料です。

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