三枝和子

三枝和子

三枝和子（さえぐさ かずこ、1929年3月31日 - 2003年4月24日）は、日本の小説家であり、旧姓は四本でした。文芸評論家の森川達也を夫に持ちます。

経歴

兵庫県神戸市出身。1948年に兵庫師範学校女子部(明石分校)を卒業後、旧制関西学院大学文学部哲学科に入学し、1950年に卒業。同大学院文学研究科修士課程に進み、武市健人にヘーゲルを学びました。1951年に大学院を中退し、森川（本名：三枝）と結婚。中学校教師として教鞭を執る傍ら、森川らと文芸同人誌『文藝人』を創刊しました。

1963年、夫の森川が兵庫県の実家の寺を継いだことを機に、東京に仕事場を構え、東西を往復する生活を始めます。1968年には『鏡のなかの闇』を刊行。翌1969年には『処刑が行われている』を出版し、田村俊子賞を受賞しました。

1988年以降は、平安時代の女性文学者や古代の女性を主人公とする歴史小説を多く手がけました。代表的なシリーズとして「響子」シリーズがあります。また、1991年刊行の『恋愛小説の陥穽』では、当時としてはまだ珍しかったフェミニズム文学批評を展開しました。

『葬送の朝』で文藝賞佳作を受賞後、『処刑が行われている』で田村俊子賞、『鬼どもの夜は深い』で泉鏡花文学賞、『薬子の京』で紫式部文学賞を受賞しています。

受賞歴

1963年：『葬送の朝』で第2回文藝賞佳作
1969年：『処刑が行われている』で第10回田村俊子賞
1983年：『鬼どもの夜は深い』で第11回泉鏡花文学賞
2000年：『薬子の京』で第10回紫式部文学賞

主な著書

『鏡のなかの闇』(1968年、審美社)
『処刑が行なわれている』(1969年、審美社)
『死面の割れ目』(1970年、新潮社)
『八月の修羅』(1972年、角川書店)
『都市－－その昏い部分』(1972年、審美社)
『物語の消滅』(1972年、審美社)
『乱反射』(1973年、新潮社)
『珈琲館木曜社』(1973年、集英社)
『夏から秋の光の中へ』(1976年、角川書店)
『詩人と娼婦と赤ん坊』(1976年、新潮社)
『恋愛小説』(1978年、新潮社)
『月の飛ぶ村』(1979年、新潮社)
『野守の鏡』(1980年、集英社)
『思いがけず風の蝶』(1980年、冬樹社)
『隅田川原』(1982年、集英社)
『丹波夜能』(1983年、中央公論社)
『鬼どもの夜は深い』(1983年、新潮社)
『さよなら男の時代』(1984年、人文書院)
『崩壊告知』(1985年、新潮社)
『花蔵院日記』(1985年、雪華社)
『半満月など空にかかって』(1985年、福武書店)
『曼珠沙華燃ゆ』(1985年、中央公論社)
『光る沼にいた女』(1986年、河出書房新社)
『女たちは古代へ翔ぶ』(1986年、読売新聞社)
『幽冥と情愛の契りして』(1986年、講談社)
『ギリシアみやげは死体付き』(1986年、中央公論社)
『群ら雲の村の物語』(1987年、集英社)
『その日の夏』(1987年、講談社)
『響子微笑』(1988年、新潮社)
『響子愛染』(1991年、新潮社)
『響子悪趣』(1993年、新潮社)
『響子不生』(1994年、新潮社)
『小説清少納言「諾子の恋」』(1988年、読売新聞社、のち福武文庫)
『その冬の死』(1989年、講談社)
『小説かげろうの日記「道綱母・寧子の恋」』(1989年、読売新聞社、のち福武文庫)
『男たちのギリシア悲劇』(1990年、福武書店)
『その夜の終りに』(1990年、講談社)
『和泉式部「許子の恋」』(1990年、読売新聞社、のち福武文庫)
『女王卑弥呼』(1991年、講談社、のち文庫)
『恋愛小説の陥穽』(1991年、青土社)
『小説紫式部「香子の恋」』(1991年、読売新聞社、のち福武文庫)
『小野小町「吉子の恋」』(1992年、読売新聞社、のち福武文庫)
『ひとひらの舟 樋口一葉の生涯』(1992年、人文書院)
『雨のなか』(1993年、河出書房新社)
『血塗られた女王 甦るギリシャ悲劇』(1993年、広済堂出版)
『小説クレオパトラ』(1994年、読売新聞社)
『光源氏と禁じられた恋 平安朝・女たちの愛と結婚』(1994年、広済堂出版)
『女性のためのギリシア神話』(1995年、角川書店)
『うそりやま考』(1995年、新潮社)
『女の哲学ことはじめ』(1996年、青土社)
『伝説は鎖に繋がれ』(1996年、青土社)
『神様の居候たち』(1996年、青土社)
『出雲王朝挽歌』(1996年、読売新聞社)
『女が自分を生きるということ』(1997年、海竜社)
『万葉の華 小説坂上郎女』(1997年、読売新聞社)
『午睡のあとプラトーンと』(1998年、新潮社)
『[岡本かの子]]』(1998年、[[新典社])
『推古天皇 斑鳩に桃李咲く』(1999年、KSS出版)
『淳和院正子』(1999年、講談社)
『薬子の京』(1999年、講談社)
『女帝・氷高皇女』(2000年、講談社)
『ギリシア神話の悪女たち』(2001年、集英社新書)
『今は昔、猫と私の関係』(2002年、講談社)
『くろねこたちのトルコ行進曲』(2005年、めるくまーる)

関連項目

日本の小説家一覧
時代小説・[[歴史小説作家一覧]]
* 神戸文学館

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