三枝守昌

三枝守昌：関ヶ原から安房三枝藩主へ至る波乱の生涯

三枝守昌は、江戸時代前期に活躍した武将です。甲斐国巨摩郡の出身で、徳川秀忠の小姓として仕えた彼は、関ヶ原の戦いでは父と共に会津征伐に従軍しました。その後も、秀忠軍の一員として上田城攻めに参加するなど、数々の戦場で武功を挙げ、500石の知行を賜りました。

続く大坂の陣での活躍により、知行は3,500石に増加。元和8年（1622年）、父と共に徳川忠長に仕えることとなります。しかし、父の死去に伴い、その遺領と合わせて田中城1万石を相続、さらに5,000石を加増されました。しかし、この時点では陪臣であったため、大名とは認められていませんでした。

その後、寛永9年（1632年）、忠長の改易により、守昌は陸奥棚倉藩主内藤信照に預けられるという憂き目に遭います。しかし、寛永13年（1636年）に赦され、幕臣として復帰。そして寛永15年2月8日（1638年3月23日）、安房国安房郡、平群郡、朝夷郡の3郡にまたがる1万石を与えられ、ついに大名として安房三枝藩を立藩しました。

安房三枝藩の藩祖となった守昌でしたが、その栄華は長くは続きませんでした。翌寛永16年（1639年）、わずか55歳でこの世を去ります。

守昌の死後、家督を継いだ嫡男の守全は、遺領1万石のうち3,000石を弟の諏訪頼増に分与しました。そのため、守全は7,000石を領する旗本となりました。守全と頼増、両系統の子孫は、旗本として幕末まで続くこととなります。

三枝守昌の生涯は、関ヶ原の戦いから大坂の陣、そして大名への昇進、そして短いながらも華々しい安房三枝藩の創設まで、まさに激動の時代を駆け抜けた武将の一生でした。忠誠心と武勇を兼ね備えた彼の物語は、江戸時代初期の社会情勢を知る上で貴重な資料と言えるでしょう。彼の死後も、子孫たちが旗本として幕府に仕え続けたことは、三枝家の家系が徳川幕府において重要な役割を担っていたことを示しています。 三枝守昌の短い生涯は、多くのドラマを秘めており、後世に語り継がれるにふさわしい物語となっています。彼の功績は、単なる武勇だけでなく、忠義と家名の維持という点においても高く評価されるべきでしょう。

もう一度検索