三津川要

三津川要：黎明期の競艇界を彩った名選手

三津川要は、1932年7月13日に滋賀県で生まれました。学校生活に興味を持てなかった彼は、新聞広告で『モーターボートレース選手募集』の記事を目にしたことをきっかけに、競艇の世界へと足を踏み入れます。競輪のようなものだろうという軽い気持ちで試験を受けたところ、見事合格。養成所での訓練を経て、1952年3月26日に選手登録を果たしました。当時、競艇はまだ黎明期であり、全てが手探りの状態でした。養成所にはエンジンもボートもなく、アメリカ製の5馬力エンジンと和船が一つだけという状況からのスタートでした。

デビューと初期の苦労

1952年4月6日、大村競艇場での史上初開催でデビュー戦を迎えます。しかし、緊張のあまり対岸の島に向かってボートを走らせてしまい、スタートに失敗。それでも4着でゴールするという、ほろ苦いデビューとなりました。当時19歳と最年少クラスだった三津川は、ベテラン選手との年齢差や経験の差に苦労しながらも、持ち前の負けん気で成長していきました。

独自の技術「三角ターン」の確立

初期の競艇は、エンジンの性能もボートの完成度も今とは比べ物にならないほど低いものでした。スタートもアバウトで、選手たちはそれぞれのテクニックを駆使してレースを戦っていました。そんな中、三津川は「三角ターン」という独自の技術を編み出します。ターンマークを頂点にして回るこのターンは、彼の代名詞となり、数々の勝利をもたらしました。

全日本選手権制覇とその後

1958年、江戸川競艇場で行われた第5回全日本選手権で、三津川は予選から準優勝戦までオール連対という圧倒的な強さを見せつけ、優勝戦でも見事勝利。自身唯一となる四大特別競走・SG級レース制覇を成し遂げました。優勝賞金は当時の大学卒初任給の30倍以上という破格のものであり、このレースの売上は競艇史上初めて1億円を突破しました。

引退と殿堂入り

その後も数々のレースで活躍した三津川は、1992年に引退。その後はびわこ競艇場で掃海係として勤務しました。長年の競艇界への貢献が評価され、2008年にはボートレースの殿堂入りを果たしました。

三津川要の主な獲得タイトル

1953年 - 芦屋開設1周年記念競走
1954年 - 児島開設2周年記念競走
1955年 - 常滑開設2周年記念競走、鳴門開設2周年記念競走
1956年 - 丸亀開設4周年記念競走、大村開設4周年記念競走
1957年 - 児島開設5周年記念競走
1958年 - 第5回全日本選手権競走（江戸川）、児島開設6周年記念競走

三津川要は、黎明期の競艇界を支え、その名を歴史に刻んだ偉大な選手の一人です。

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