三浦展

三浦展について

三浦展（みうら あつし）は、1958年生まれの日本の社会デザイン研究者、マーケティング・アナリスト、消費社会研究家、評論家です。株式会社カルチャースタディーズ研究所の代表取締役を務め、マーケティングリサーチやプランニング、コンサルティングなど多岐にわたる業務を手掛けています。彼の研究は、現代社会の消費動向、都市構造、家族関係など、多角的な視点から社会問題を捉え、分析することに特徴があります。

生い立ちとキャリア

新潟県糸魚川市で生まれ育った三浦は、新潟大学教育学部附属高田小学校、同中学校、新潟県立高田高等学校を経て、1982年に一橋大学社会学部を卒業しました。大学では佐藤毅ゼミに所属し、岩崎允胤ゼミにも参加しています。

卒業後はパルコに入社し、マーケティング雑誌「アクロス」の編集室に勤務。入社4年目には編集長に就任し、才能を発揮しました。1990年にパルコを退社後、三菱総合研究所に移り、主任研究員としてマーケティングや労働行政などの調査・研究に従事しました。

1999年には三菱総合研究所を退社し、自身の会社である株式会社カルチャースタディーズ研究所を設立。代表取締役として、マーケティング調査、商品企画、コンサルティングなど幅広い活動を展開しています。

研究と著作

三浦の研究は、現代日本の社会構造や消費文化を深く掘り下げたものが多いです。特に、著書『下流社会』（光文社新書）は80万部を超えるベストセラーとなり、社会現象を巻き起こしました。この著作では、所得が低く、社会への意欲も低い層の出現を指摘し、格差社会の現実を浮き彫りにしました。他にも、『ファスト風土化する日本』や『下流大学が日本を滅ぼす！』など、社会問題に鋭く切り込む著作を多数発表しています。

主な研究テーマ

消費社会: 消費行動の変遷、若者や団塊世代の消費動向、現代の消費文化などを分析しています。
都市問題: 郊外化、都市の衰退、地方の過疎化など、都市構造が抱える問題点を研究しています。
家族問題: 家族の多様化、未婚化、晩婚化など、家族関係の変化が社会に与える影響を考察しています。
階層社会: 社会階層の固定化、格差の拡大など、社会構造がもたらす不平等を分析しています。

造語

三浦は、社会現象を捉える上で独特な造語を生み出しています。以下にその一部を紹介します。

ファスト風土化: 大型店やチェーン店の郊外進出によって、地域ごとの個性が失われ、どこも同じような風景になってしまう現象。
下流社会: 所得が低く、社会への意欲も低い層の社会。
真性団塊ジュニア: 団塊世代の本当の子ども世代。
ニセ団塊ジュニア: 第二次ベビーブーム中に生まれた世代。
かまやつ女子: ムッシュかまやつひろしのファッションを模倣するような若い女性。

社会からの評価

三浦の研究は、様々な立場の人々から評価されています。

肯定的評価

野口武彦（国文学者）: 『下流社会』を「市場調査を土台とするしっかりしたデータに基づいた分析」と評価。
上野千鶴子（社会学者）: 三浦の初期の著作からの愛読者であることを公言。
岡本全勝（内閣総理大臣秘書官）: 『下流社会』を「勉強になる」と紹介し、自身の著作でも三浦の著作を取り上げている。
石原千秋（国文学者）: 『「家族」と「幸福」の戦後史』を一定の批判をしつつも、参考図書として推薦。
宮崎哲弥（評論家）:『ファスト風土化する日本』を最高評価、その他著作も名著と評価。
勝間和代（経済評論家）: 三浦を「憧れの人」と称し、少子化対策プロジェクトチームで意見を求めた。

否定的評価

山形浩生（評論家）: データの恣意的な解釈があると批判。
後藤和智（評論家）: 統計の杜撰さや、結論ありきの論理展開を批判。
竹内洋（京都大学名誉教授）：お手軽な「下流」新書として間接的に批判。

三浦自身は、自身のデータが必ずしも正確ではないことを認めつつ、自身の説を仮説として位置づけています。

その他の活動

三浦は、研究活動の傍ら、以下の役職も務めています。

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科兼任講師
信州大学大学院非常勤講師
京都造形芸術大学非常勤講師
都留文科大学講師
国際日本文化研究センター共同研究員
内閣官房内政審議室少子化問題有識者会議委員
経済企画庁生活ビジョン研究会委員
労働省職業情報検討会委員
東京都青少年問題協議会委員
神奈川県住宅供給公社集合住宅開発研究会委員
財団法人セゾン現代美術館評議員
文化庁建築文化に関する検討会議委員

これらの活動からも、三浦が社会の様々な問題に対して積極的に関わっていることがわかります。

結論

三浦展は、社会の変化を鋭く捉え、独自の視点から分析する社会研究者です。彼の著作は、現代社会が抱える課題を理解する上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。多岐にわたる活動を通じて、社会の発展に貢献している人物と言えるでしょう。

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